魚介類の栄養成分・種類

魚介類の栄養成分を概観すると、人の身体に必要な栄養成分の宝庫であり、様々なビタミン・ミネラルアミノ酸類の有効成分が含まれていることがわかります。
不足しているのはビタミンCのみといっても過言ではないでしょう。

なかでも背青魚は、生活習慣病の要因となるコレステロール値を下げ、血液をサラサラにする優れた食材です。

背青魚は、一般的に安価でもあるので、積極的に食卓に取り入れ、魚介類の持つ栄養素を活かして、健康的な食生活を目指しましょう。

魚介刺身

タンパク質

魚は肉や乳製品と並ぶタンパク源です。
しかも、そのタンパク質は、人が体内で作ることができず、必ず食べ物から摂取しなければならない必須アミノ酸8種類(幼児期では9種類)をバランスよく含んでいます。

必須アミノ酸が一つでも基準値に達していないと、その食品はタンパク質として完ぺきではないことになります。

アジイワシサケサバサンマといった食卓でお馴染みの魚のほとんどがアミノ酸スコアで100点をとるほど優秀なのです。

しかも、肉に含まれる脂肪は中性脂肪値やコレステロール値を上げてしまうが、魚の脂肪はそれらを下げる働きがあるDHAやEPAが多く含まれています。

また、魚のタンパク質にはイオウを含むアミノ酸(チスチン、メチオニン)が多く、これらには血圧降下作用、血中コレステロール低下作用があります。

脂質の多い肉よりも、うんと低カロリーであるため、肥満の解消に役立つでしょう。
タンパク源としては、肉より魚を多く取るほうが健康的だと言えるでしょう。

タンパク質は、身体の成長・維持に不可欠な栄養素ですが、その他にも代謝の促進、不要塩分の排除などの働きをします。

タンパク質を多く含む魚介類

カルシウム

骨や歯の生成や維持に不可欠な栄養素です。
筋肉の収縮に一役買っているほか、ストレスを解消させる成分も持っています。

魚のカルシウムは牛乳カルシウムと同じくらい吸収率が良いです。

カルシウムを多く含む魚介類

  • めざしなどの材料となるカタクチイワシやウルメイワシ、アジ、アナゴ、小魚一般など。

DHAとEPA

魚で忘れてはならないのはDHAEPAです。
この魚の脂のEPA・DHAは、動物性プランクトンの脂質に多く含まれ、プランクトンをエサとする小さい魚、その小魚を食べる大型魚など、ほとんどの海産物に含有している脂です。

ひと頃は「頭が良くなる」栄養素として話題になったこともありますが、近年は血液サラサラ効果など生活習慣病予防で話題になっています。

DHAとEPAは魚に多く含まれている脂肪の一種で、植物油と同じ不飽和脂肪酸の一つで比較的新しく注目されている栄養成分です。
動物性脂肪が常温でかたまりやすいのに対し、常温ではかたまりにくい性質を持っています。

DHAは、脳の成長と発達に関わる成分を持っており、幼児だけでなく胎児の脳の発達を促進させます。

EPAは、血中のコレステロール値を低下させる働きをするため、動脈硬化や心筋梗塞、脳卒中などの予防効果があります。

DHAは、血管の質を改善させ、EPAは血液をサラサラにする効果があります。
どちらも背の青い魚に多く含まれています。

EPAとDHAを多く含む魚介類(可食部100g当たり)

魚名EPA(mg)DHA(mg)
マグロ脂身19722877
マイワシ13811138
サバ12141781
サンマ8441398
ブリ8981784
ウナギ492820
ニジマス247983
アジ408748
イカナゴ454615
ウルメイワシ275633
アナゴ472661
マダイ157297
コイ159288
カレイ210202
カツオ78310
アユ201136
イカ56152
タラ3772

EPAとDHAの作用比較

効能(生理活性)EPADHA
血中脂質低下作用(コレステロール中性脂肪
血圧降下作用
抗血栓作用(血小板凝集抑制)
抗腫瘍作用(大腸、乳、皮膚、前立腺、子宮がんなど)
頭が良くなる作用(記憶改善、老人ボケ)
目がよくなる作用(視力低下抑制)

タウリン

コレステロール値を低下させる働きがあり、視力の回復や維持にも効果があります。
さらに、肝臓障害の改善、糖尿病予防、高血圧の改善など生活習慣病関連を大きく是正させます。

タウリンを多く含む魚介類

  • イカ、タコ、ウナギ、エビ、貝類、海苔など。

鉄分

鉄分は血液を造る栄養成分で、貧血を予防します。

鉄分を多く含む魚介類

  • カキ、アサリなど。

魚介のビタミン類

魚介類に含まれるビタミンAは、皮膚や眼、口腔、消化器官などの粘膜を維持しています。

ビタミンB1は、脚気を予防するほか、知覚機能を維持する働きがあります。

ビタミンB2は、身体の発育を促し、ビタミンB6は皮膚のさまざまなトラブルを予防します。

ビタミンB12は、貧血予防や血流を促し、ビタミンDカルシウムやリンの吸収を助け、老化の進行を抑える働きがあります。

また、ナイアシン(ビタミンB3)は皮膚炎や胃腸疾患を予防し、さらに不眠などになりやすい神経疾患の予防に効果があります。

ビタミンA

皮膚や粘膜を正常に保ち、免疫機能を維持するビタミンです。
がんの発生を抑制する効果があると言われています。

ビタミンAを多く含む魚介類

  • ウナギ、アナゴ、ギンダラ、ホタルイカ、ハモ、アンコウの肝など。

ビタミンB1

糖分の分解を助け、体のエネルギーを作り出します。
また、疲労回復や夏バテ解消に効果のあるビタミンです。

ビタミンB1を多く含む魚介類

  • ウナギ、カレイ、タラコ、スジコ、カツオ、ブリ、ブリ、マナガツオなど。

ビタミンB2

脂質や糖質からエネルギーを作り出し、皮膚や髪、爪の成長を促進するビタミンです。
過酸化脂質を分解して、生活習慣病を予防します。

ビタミンB2を多く含む魚介類

  • ウナギ、サバ、カレイ、サンマ、ドジョウ、イワシ、ブリ、シシャモなど。

ビタミンB6

タンパク質アミノ酸に分解して再合成する役割を果たします。
免疫機能を正常に維持する働きがあり、発育期の子どもや妊婦、授乳中の女性には特に必要です。

ビタミンB6を多く含む魚介類

  • マグロ、サンマ、サケ、サバ、イワシ、タイ、ニシンなど。

ビタミンB12

赤血球の生成に働き、貧血を予防する。
動物性食品にしか含まれません。

ビタミンB12を多く含む魚介類

  • アサリ、カキ、シジミ、ニシン、スジコ、サンマ、イワシ、サバ、タラコ、サケなど。

ビタミンD

カルシウムの骨や歯への沈着を促す。
ビタミンAの吸収を助ける。
骨粗しょう症予防に必要なビタミンです。

ビタミンDを多く含む魚介類

  • カワハギ、クロカジキ、シロサケ、ニシン、ソウダガツオ、サンマなど。

ビタミンE

活性酸素から体を守り、生活習慣病やがん、老化を予防する。
血行改善や更年期障害の改善にも効果があります。

ビタミンEを多く含む魚介類

  • ウナギ、タラコ、アコウダイ、スジコ、キンメダイ、サンマ、イカ、イワシ、ギンダラなど。


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