秋刀魚(さんま)の栄養、効能効果

  • 効能効果:高血圧予防、ボケ予防、動脈硬化予防、貧血予防、老化予防、がん予防、胃弱改善、食欲不振改善

サンマは、ダツ目サンマ科の海水魚です。
海面近くを大群で回遊し、日本では年間を通して列島を移動しています。

食品の栄養評価のひとつにタンパク価の(プロテインスコア)という基準があります。

これはある食材のタンパク質に、必須アミノ酸(体内で合成されず食べ物により取らなければならないアミノ酸)の種類と量がどれくらいの割合で含まれるかを示すもので、サンマはほぼ100近くです。

魚の中ではトップクラスで、牛肉やチーズさえもしのぐ効率の良いタンパク食品ということができます。

さんま

サンマの旬は、たっぷり脂がのる秋とされています。
旬には体重の20%にもなるというサンマの脂は、EPA(エイコサペンタエン酸)、DHA(ドコサヘキサエン酸)、タウリンの宝庫です。
EPA、DHAは、血液をサラサラにする脂肪分で、魚に多く含まれています。

タウリンはアミノ酸の一種で、血中コレステロールの上昇を抑制する働きがあります。
また、疲労回復や血圧を下げるなどの効果もあります。

脂がサンマの体重の20%にもなる旬のものは、栄養価も美味しさも一段とアップします。
はらわたも栄養価が高いので、取らずに食べたいものです。

高タンパクのサンマはまた、なかなかの高脂肪でもありますが、この場合も良質の不飽和脂肪酸であるEPAやDHAがたっぷり含まれているので心配はいりません。

冷たい海中で生活する魚の場合、その脂肪は凝固しにくい不飽和脂肪酸が中心です。

このうちEPA(エイコサペンタエン酸)は血液中のコレステロール低下させ、血液の流れを良くして血栓をできにくくする効果があり、怖い動脈硬化や心筋梗塞、脳梗塞から守ってくれます。

加えて、DHA(ドコサヘキサエン酸)には、コレステロールを抑える作用とともに、脳細胞の成長をうながし、脳を活性化、ボケを防ぐ働きがあります。

サンマはビタミン類も豊富な魚です。
サンマには、ビタミンのA、D、EやB群が多く含まれ、皮膚・粘膜や目の健康や風邪予防(ビタミンA)、カルシウム吸収を促しての骨粗鬆症予防(ビタミンD)、抗酸化によるガン・老化予防(ビタミンE)などの効果も期待できます。

ビタミンADEは脂溶性のビタミンなので、脂がたっぷりのっていれば、それらの吸収も高まります。

ただし、これらの豊かな栄養が意外な部位に多いことも忘れてはいけません。
例えば、皮のすぐ裏の皮下脂肪には、EPAやDHAが多く含まれています。

苦いため敬遠されがちな内臓には、多量のビタミンD、そしてビタミンAも多く含まれています。

また、タウリンは血合肉に特に多く含まれています。
栄養面を考えれば、無駄なくすべてを食べたいものです。

栄養の代謝を促進するB群のなかでは、貧血予防に良いビタミンB12が多いのが特徴的です。

サンマの注目成分

サンマの主な栄養成分(可食部100gあたり)



サンマの栄養素を効果的に引き出す調理法

夏バテ解消の栄養素を摂取!煮物にして煮汁もいただく

秋の味覚の一つであるサンマ。
夏に疲れた体を回復させるビタミンB群が豊富です。

これらは水溶性のため、煮物にしたら栄養素が溶け出た煮汁も一緒に食べるようにしましょう。
下処理で身を洗う時も手早く行わないと、ビタミンB群が流出するので注意しましょう。

煮る際に酢を入れれば骨からカルシウムが溶け出すので、摂取量を増やすことができます。
また、骨を油で揚げて、せんべいにするのもおすすめです。

サンマの健康美容効果倍増の食べ合わせ

ズッキーニと合わせて免疫力アップ

ズッキーニに豊富なβ-カロテンは、体内で抗酸化力の強いビタミンAに変わります。
ビタミンAは脂溶性なので、サンマの脂で吸収力がアップします。
ビタミンA本来の免疫力を高める効果が期待できます。

サンマ+キャベツ

サンマのビタミンB12とキャベツの葉酸には、それぞれ造血作用があります。
双方が合わさることで、貧血予防や肌のくすみ予防に期待ができます。

サンマ+パクチー

サンマのビタミンEとパクチーのビタミンCには、美容効果があると言われています。
これらが合わさることで肌をきれいにし、また疲労回復効果も期待できます。

サンマの選び方・保存方法

背中の部分が青黒く光っていて、全体に身が締まり、張りがあるもの。
目が澄んでいて、口先や尾が黄色っぽい色をしている。
ウロコが多くついている。
腹は銀色で全体的に光沢があり、太っているものを選ぶ。

保存する際はエラ、内臓を取って洗い、ペーパータオル等で水けをしっかり拭き取ってラップに包む。
ビニール袋に入れて冷蔵庫へ。
その日のうちに食べるか、冷凍保存する。(冷凍保存期間は1週間)


サンマの焼き方

塩を振る

塩を振るタイミングは焼く10~15分前です。
早過ぎるとせっかくのうまみが水分とともに外へ出てしまいます。
全体に塩をすり込むことで生臭さも消えます。

塩を尾に厚めに塗っておくと焦げ落ちるのを防ぐことができます。
または、アルミホイルで包んでおくと良いでしょう。

焼く前の準備

焼き網はあらかじめ熱し、油や酢を塗っておくと、皮の焼き付きを防ぐことができます。
皮に切れ目を入れておくのもきれいに焼くコツです。

盛りつけの時に表になる面に横に切れ目を入れておくと食べやすくなります。

焼き方

盛り付けるときに裏側になる面から加熱し、十分火を通す。
表にする面はあっさりキツネ色程度に焼きます。

焼き上がりの目安は、黒目の部分が白くなった時です。
身がくずれるので、焼き具合を見るために何度も魚を返さないようにしましょう。

※生焼けのときの対処法
アルミホイルで包んでから、焼き直す。
こうするとサンマの皮が焦げないため、美味しく食べられます。

サンマの一生と食べ方

さんまは太平洋沖で誕生後、北上し、北海道沖で動物性プランクトンなどを食べて体に脂を蓄えます。
成長後、太平洋を南下して産卵した後、さらに南下し、一生を終えます。

つまり、成長とともに日本列島を海流に乗って移動する魚なのです。
サンマの一生で、最も脂がのるのは産卵する前で、それが秋、つまり旬となります。

現在では、輸送の発達で、新鮮な旬のサンマが全国に届けられていますが、昔は各地にサンマが訪れる時期に合わせた様々な食べ方がありました。

プランクトンを食べて太る前、つまり若いサンマがとれる北海道東部や、産卵後でやせたサンマが水揚げされる紀伊半島では、脂が少ないのを生かし、刺身やなれずし(発酵ずしのこと。和歌山県名産)など、生で食べます。

また、新鮮なサンマが入手しにくかった四国や中国地方南部では、干物で、沖縄では脂を補うために揚げて食べていました。

現在ではポピュラーな塩焼きは、東日本をはじめとする限られた地域でしか味わえなかったのです。

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