ビタミンD

ビタミンDは、カルシウムやリンの吸収を促進させ、骨の健康を保たせるなど、特に乳幼児の骨の形成に重要な働きをするビタミンです。

食べ物から摂取したビタミンDは、腎臓や肝臓の酵素によって活性型ビタミンDに変換されます。

活性型ビタミンDは小腸でカルシウムとリンの吸収を促進し、血液中のカルシウム濃度を高め、骨の形成を促進させます。

血液中のカルシウムは神経伝達や筋肉の収縮という大切な働きに関わるため、常に一定濃度に保つことが重要です。

その調節をを行うのも活性型ビタミンDの役割です。

血中カルシウム濃度が低下すると、副甲状腺ホルモンなどと協調して小腸粘膜に働きかけ、腸管からのカルシウム吸収を促進したり、骨からカルシウムを溶かし出したりして、血中カルシウム濃度を一定に維持しています。

ビタミンDを摂り過ぎていると、血液中のカルシウム濃度が上昇して高カルシウム血症をおこしたり、血管壁や心筋、肺などにカルシウムが沈着し、腎機能障害や軟組織の石灰化障害を招いてしまいます。

ビタミンDの過剰症は、サプリメントなどで大量に摂取した場合に起こりやすく、通常の食事で起こることはあまり心配しなくても良いでしょう。

ビタミンDが欠乏すると、成人、特に妊婦や授乳婦では骨軟化症を発症します。

子どもでは骨の成長障害が起こり、背骨や足の骨が曲がったり、X脚、O脚、クル病などを起こします。

高齢者や閉経後の女性では、骨粗鬆症の原因になっています。

鮭

ビタミンDを多く含む食べ物

  • 魚(特に青背魚)、卵黄、乳製品、きのこ類


ビタミンDの特徴

  • 紫外線にあたると、体内で合成される
  • 骨の材料となるカルシウムやリンの吸収を高め、骨や歯を強くする
  • 血液中のカルシウム濃度を調節し、筋肉の収縮をコントロールする
化学名・別名カルシフェロール
ビタミンD性質白色結晶、脂溶性、熱や酸化に対して比較的安定
ビタミンDの生理作用カルシウムの吸収促進、骨の成長促進、血中カルシウム濃度調節
摂りすぎによる弊害カルシウム血症、腎障害、軟組織の石灰化障害
不足による弊害成人の骨軟化症、子どものクル病
1日の摂取基準成人:5μg   上限量:600μg


皮膚でもビタミンDは作られる

人の皮膚には、ビタミンD前駆体のプロビタミンD3が存在し、日光の紫外線によってビタミンDに変換されています。

そのため、外出の機会が多く、日光によく当たる生活をしている人は、ビタミンD不足に陥る心配が少なくなります。

夜型生活の人、日焼け止めや紫外線を遮断する化粧品を常用している人、高齢者など、皮膚でのビタミンD産生能力が不足している方は、ビタミンD不足に注意する必要があるでしょう。

日光照射量による皮膚のビタミンD合成量の違い

ビタミンD合成量(IU/日)
夏期の晴天の日720
冬期の晴天の日400
夏期の曇りの日260
冬期の曇りの日150
  • 日照時間の少ない冬の曇りの日は、夏の晴れの日に比べ、皮膚でのビタミンDの合成量は1/4以下になる。


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