亜鉛

亜鉛は、100種類を超える酵素の活性に関与する重要なミネラルです。
細胞の形成や新陳代謝を促したり、免疫反応に関与しています。

成人の場合、亜鉛は体内に2~4g(体重70 kgのヒトに平均2.3 g)存在し、さまざまな酵素の成分となっています。

タンパク質や遺伝情報伝達物質DNAの合成や糖質の代謝、インスリンの合成、免疫反応などにかかわる酵素の構成成分として、これらの働きを補助しています。

口内には、舌を中心に味蕾という味を感じる細胞の集合体が存在しています。

味蕾は、新陳代謝が活発で、10~12日のサイクルで次々と新しくつくりかえられ、その形成に亜鉛は不可欠です。

亜鉛は、骨や眼球、肝臓、筋肉、腎臓、脾臓、前立腺、精子に多く存在しています。

精子尾部の形成には亜鉛が不可欠で、生殖機能の維持にも大切です。


化学記号Zn
亜鉛の体内分布骨、すべての細胞内
亜鉛の生理作用DNAやタンパク質の合成、酵素の構成成分
摂りすぎによる弊害急性中毒、膵臓機能の異常
不足による弊害成長障害、貧血、味覚異常、皮膚炎、性機能の低下
1日の摂取基準成人男性:9mg  成人女性:7mg


亜鉛の過剰摂取による弊害

亜鉛は、普通の食生活をおくっていれば、過剰症を起こす心配はありません。

しかし、亜鉛は毒性が強いので多量に摂取すると急性中毒を起こします。


亜鉛の摂取不足による弊害

亜鉛は、野菜やいもなどの植物性食品をはじめ様々な食品に豊富に含まれているので、通常の食事で不足することはないでしょう。

しかし、下痢や嘔吐、あるいは利尿剤の長期服用などで、カリウム排泄量が異常に増えると、脱力感や食欲不振といった欠乏状態が起こる場合があります。

普通の食事なら問題はありませんが、偏食や加工食品に頼りすぎていると、亜鉛不足に陥ります。

亜鉛が不足すると、子どもでは成長障害を招きます。

成人では、貧血や味蕾の減少による味覚障害、皮膚炎、うつ状態などが現れ、女性の場合は、無月経、男性の場合は、精子数が減少するなど性機能が低下します。

また、亜鉛は免疫機能にも関与しているので、不足すると免疫機能の低下がみられ、感染症にかかりやすくなります。



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