脂質

脂質とは、脂肪酸とグリセリンなどのアルコールが結合した高分子化合物で、効率のよいエネルギー源です。

細胞膜や血液の成分として重要であり、1gで9キロカロリーのエネルギー(糖質の2倍以上)を生み出します。
脂質の多い食事なら少量で必要な熱量が得られ、胃にかかる負担が少なくてすみます。

脂質はエネルギーとして使われる以外に、余った分は体脂肪となり、貯蔵エネルギーとして体内に貯蔵され、必要に応じて使われます。

主に体温の調節や皮膚をみずみずしく保ったり、内臓を守るクッションの役割を果たします。
脂質の取り過ぎは肥満が心配ですが、不足するとこうした脂質の働きが十分に発揮されないことになります。

脂質の特徴は、水には溶けずにエーテルやクロロホルムなどの有機溶媒に溶ける性質をもつことです。

効率の良いエネルギー源で、細胞膜や核酸、神経組織などの構成成分として重要です。

また、脂溶性ビタミンの吸収を助ける働きもあります。

構   造脂肪酸と各種アルコールが結合した高分子化合物
生理作用エネルギー源、細胞膜の構成成分、体温の維持、衝撃への保護
など
脂質を含む食品油脂、肉、魚、種実など
摂りすぎによる弊害肥満、脂質異常症、動脈硬化
不足による弊害脳出血、短命
1日の摂取基準30~69歳において
総エネルギー占める脂質エネルギー比  20~25%未満

脂質の過剰摂取による弊害

脂質は、1gあたり約9kcalと高エネルギーのため、取り過ぎるとエネルギー過多につながり、肥満を引き起こします。

総摂取エネルギーのうち脂肪エネルギー比率が30%を超える食習慣を続けていると、糖尿病や脂質異常症、動脈硬化が起こりやすくなるといわれています。

特に、肉やバターなどの動物性脂肪には、血液中のコレステロール中性脂肪を増やす飽和脂肪酸が多く含まれ、取り過ぎは動脈硬化の原因になり、脳卒中や心筋梗塞などの心疾患のリスクを高めます。

また、高脂肪の食事を続けていると、大腸がんや乳がん、前立腺がんなどになりやすく、様々な生活習慣病を招くこともわかっています。

脂質の摂取不足による弊害

脂質が不足すると、エネルギー不足に陥り疲れやすくなるほか、血管や細胞膜が弱くなり、脳出血の可能性も高まります。

総脂質の1日摂取基準(総エネルギーに占める割合)

年齢目標量(%エネルギー)
0~5(月)※50※50
6~11(月)※40※40
1~29(歳)20以上30未満20以上30未満
30~69(歳)20以上25未満20以上25未満
70以上(歳)15以上25未満15以上25未満
妊婦・授乳婦-20以上30未満

※は目安量



脂質の化学構造の特徴からみた分類

単純脂質

単純脂質には、中性脂肪やろうがあり、脂肪酸とアルコールが結合した構造をしています。

中性脂肪は一般に「脂肪」と呼ばれていて、貯蔵脂質として皮下や腹腔などに貯えられ、必要に応じてエネルギー源として利用されます。

また、中性脂肪は、熱伝導性が低いので体温保持に役立ちます。
また、弾力性があるのでクッション役として臓器を保護する働きもあります。

複合脂質

複合脂質には、リン脂質と糖脂質があり、単純脂質の一部に他の成分が結合した構造をしています。

タンパク質と結合して細胞膜を形成するなど体組織の構成成分として重要ですが、エネルギー源にはなりません。

誘導脂質

誘導脂質には、ステロール類があり、動物の体内に存在するステロール類の多くはコレステロールです。


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