卵黄コリン

卵黄コリンとは、卵黄の脂質に由来する成分で、卵黄ホスファジルコリンとも呼ばれています。

コリンは、脳の発達や機能の維持、肝臓の働きを正常にしたり、高脂血症の改善などいろいろな効果を発揮します。

特に、卵黄コリンには、ビタミンB12と併用することで、アルツハイマー型認知症の予防や脳機能の改善に対すて、効果が発揮されることを期待されています。

コリンには大きく3つの役割があります。
まず、1つはホスファチジルコリンの生合成における前駆体として、2つめは神経伝達物質であるアセチルコリンの前駆体として、3つめはメチル基の供与体としての働きです。

また、リン脂質の代謝においてコリンは、スフィンゴミエリンやPAF(血小板活性化因子)の生合成経路における前駆体としても働きます。

卵黄コリンの効能効果

アルツハイマー型老年性認知症の予防と改善、脂肪肝の改善と肝機能の保護・正常化、動脈硬化や心臓病の予防など。



卵黄コリンの効能効果根拠

コリンは、アセチルコリンの原料となります。
一方、アルツハイマー型認知症に伴う症状の原因の一部は、アセチルコリンの合成や利用が低下したためであるといわれています。

現在、アルツハイマー型認知症の治療薬として、アセチルコリン分解酵素の活性を抑制することで脳内のコリン作動性神経における神経伝達を促進するものがあります。

これらのことにより、卵黄コリンは、アルツハイマー型認知症に伴う認知障害および記憶障害に対して、効果が期待されています。

アセチルコリンを増やす方法として、コリンをサプリメントとして補うことが考えられます。

実際、卵黄コリンビタミンB12を組み合わせたサプリメントによって、認知症症状が改善したことが確認され、報告されています。

消化吸収されたコリンは、神経細胞野中で、アセチルコリン合成酵素の働きによりアセチルコリンになります。
このときビタミンB12が酵素を活性化してアセチルコリンの量を増加させます。

臨床試験では、12週間の連続投与により60%の患者において認知症症状の改善が見られたというデータがあります。

また、コリン欠乏による弊害として、肝臓に脂肪が蓄積し肝障害をきたすことがわかっており、コリン摂取によって慢性肝炎が改善されることが認められています。

卵黄コリンの摂取方法

コリンの摂取量は1日あたり300~1200mgです。
一般的には300mg前後をサプリメントで摂取すると良いでしょう。
コリン摂取量の上限は、成人1日あたり3500mgです。

卵黄コリンの注意する点

卵黄コリンは、通常の食材に由来する成分であり、問題となる健康被害や副作用は報告されていません。

卵アレルギーの原因となるのは卵白の部分が多く、卵黄コリンは問題を生じにくいと考えられます。

また、卵黄コリンがコレステロール値や中性脂肪値をあげることがないので、高脂血症患者も利用できます。

なお、コリン摂取制限の必要な遺伝病や、抗ガン剤を使用中の場合は、主治医に相談の上、利用すると良いでしょう。