ノニ
ノニというのは、東南アジア原産の植物で、果実が可食部です。学名は、モリンダ・シトリフォリアといい、日本でも沖縄・八重山諸島などに自生しています。
ノニは、ポリネシア諸島の国々における伝統医療において、鎮痛消炎作用の他、いろいろな効果をもつ万能薬として、2000年以上の間、利用されてきました。
現在、ノニの果実に由来するサプリメントが、生活習慣病を予防する機能性食品として注目されています。
ノニの有効成分として、アメリカ農商務省のファイトケミカル・データベースには、アントラキノン類に属するダムナカンタール、アルカロイド類やテルペン類、フラボノイド類が登録されています。
また、ビタミンCやカリウムも比較的多く含有しています。
なお、ノニの作用メカニズムとして、キセロニン・システムという仮説が提唱されています。
キセロニンは、アルカロイドの一種であり、ノニの有効成分の1つ、プロキセロニンからプロキセロナーゼという酵素の働きで作り出されます。
このキセロニンが、体内で働くさまざまな酵素などのタンパク質に作用することで、効果を発揮するという説です。
ただし、このメカニズムは完全に証明されたわけではなく、疑問視する研究者もいます。
ノニの効能効果
抗ガン作用(基礎研究のみのデータ)、鎮痛作用(基礎研究のみのデータ)、生活習慣病全般の予防(臨床試験は報告されていない)など。
ノニの効能効果根拠
人を対象にした臨床試験は報告されていません。
基礎研究において、ノニに由来するダムナカンタールの抗ガン作用や、ノニジュースの抗ガン効果などが報告されています。
また、動物実験において、ノニを投与した際に中枢性の鎮静効果が得られることが確認されています。
ノニ葉抽出物の糖尿病に対する改善効果が、基礎研究と臨床試験によって報告されています。
まず、薬剤誘導性糖尿病ラットおよび自然発生2型糖尿病マウスに対して、ノニ葉抽出物を投与したところ、血糖値の上昇が抑制されました。
次にボランティアの被験者を用いた臨床試験では、ノニ抽出物添加によって空腹時血糖値の低下が確認されました。
その他、ノニに存在する脂質過酸化抑制物質に関する研究報告も発表されています。
ノニの摂取方法
ノニのサプリメントには、ノニエキスから作られたソフトカプセルやドリンク剤があります。
特に決まった摂取量はありません。有効成分のもつ抗酸化作用などによって生活習慣病の予防や改善を目的とする場合、短期間では効果が期待できないので、継続して利用します。
ノニの注意する点
通常の食材に近い成分であり、問題となる健康被害や副作用は知られていません。
なお、カリウム摂取制限を指示されていた慢性腎不全の患者が、毎食後にノニジュースを摂取した結果、血中のカリウム値が上昇したという例があります。
ただし、一般的なノニジュースのカリウム含有量は、オレンジジュースと同程度であり、健常者が生活習慣病予防の目的で摂取する場合には、特に問題は生じないでしょう。
他のサプリメントや医薬品との相互作用は報告されておらず、併用は問題ないと考えられます。