ルテイン

ルテインおよびゼアキサンチンというカロチノイド系ファイトケミカルは、目の網膜を保護し、老化に伴う目の病気を防ぐ成分です。

網膜の病気である黄斑変性症を防ぎ、白内障にも効果があります。

網膜は目の一番奥にあり、そこに到達した光の刺激を神経の信号に変える働きを持ちます。

網膜には、光や色を感知するための視細胞が存在しています。
物を見る機能において最も重要な役割を果たしているのが黄斑で、網膜に存在する黄斑は、視野の中心にあたる場所で、視細胞がたくさん集まっています。

黄斑が老化とともに傷害される病気が、「加齢黄斑変性症」で、この病気の初期の症状は、物がゆがんで見えたり、さらに障害が進むと、視力の低下が起こり、失明の原因になります。
黄斑変性症は、65歳以上の高齢者における失明や視力障害の主な原因のひとつです。

ルテインの効能効果

血栓溶解作用、脳梗塞・脳血栓症予防作用、血小板凝固抑制作用、血液流動性改善効果など。



ルテイン効能効果根拠

網膜には35~120ngのカロチノイド(ルテインとゼアキサンチン)が存在します。ルテインは網膜全体に分布しますが、ゼアキサンチンは黄斑のみに存在します。

これらのカロチノイドは、眼球内に入ってきた光のうち有害な短波長の光線を吸収する作用を持ちます。そして、抗酸化作用により、活性酸素による網膜の変性を抑制します。

紫外線は、角膜や水晶体で吸収され、網膜には達しません。しかし、可視光線は網膜に達し、その一部が網膜に損傷を与えます。網膜に存在するルテインとゼアキサンチンは、その有害な可視光線を吸収するとともに、網膜に対する酸化障害を防ぎます。

目の水晶体(レンズ)が加齢や紫外線の影響で酸化され濁ると白内障となります。そして、ルテインとゼアキサンチンは、白内障の予防にも効果を発揮することが研究で確認されています。

1994年に、『アメリカ医師会ジャーナル』に発表された研究では、各種のカロチノイドを摂取すると黄斑変性症のリスクが減少することが報告されました。

この研究は、眼科を専門とする5つの治療施設において356人の高齢者を対象に行われました。
そして、カロチノイドの中でも特にルテインとゼアキサンチンの摂取が多いほど黄斑変性症が予防できることが認められました。

ルテインやゼアキサンチンといったカロチノイドの量が少ないと、加齢に伴う黄斑変性症を起こしやすくなります。

そこで、ルテインをサプリメントとして、毎日30mgを140日間にわたり投与し、その効果をみた研究がアメリカから報告されました。

それによると、投与開始から20~40日後に黄斑の色素量が増加し始め、投与を中止したあとも40~50日間、黄斑の色素の増加が持続したとされています。

このことから、サプリメントを用いて網膜のカロチノイドの量を増やすことも可能といえるでしょう。

さらに、ルテインをサプリメントとして30mg摂取したときの効果も確認されています。

ルテインの摂取方法

一般に、ルテインの場合、1日あたり6~12mg程度をサプリメントで摂取します。

すでに黄斑変性症が疑われているケースでは、20mgなど多めに摂ることもあります。

ルテインもゼアキサンチンも脂溶性成分であるため、食事と一緒に摂るほうが吸収効率の点で効果的です。

脳血栓症や脳梗塞は夜間就寝中に生じやすいため、朝食時にまとめて摂取するのではなく、夕食後にも摂るようにするとさらに効果的です。

ルテインの注意する点

通常の食材に由来する成分であり、特に問題となる健康被害や副作用は報告されていません。

また、過剰症なども報告されていません。

なお、高脂血症の薬や抗肥満薬の中には、ルテインやゼアキサンチンの吸収効率を低下させるものがあります。

したがって、サプリメントは、これらの医薬品やサプリメントと一緒に摂るのではなく、30分から1時間ほどあけて摂取するのが良いでしょう。

なお、ルテインやゼアキサンチンのサプリメントが、医薬品の吸収や効能を阻害することはありません。