アミノ酸サプリメント
人の体の16~20%を占めるタンパク質は、20種類のアミノ酸から構成されています。
そのうち、体内で合成出来ないアミノ酸が9種類有り、必須アミノ酸と呼ばれています。
非必須アミノ酸は体内で合成出来ますが、必須アミノ酸は食品から摂取する必要があります。
食事としてタンパク質を摂取すれば、それがアミノ酸に分解され、体内にアミノ酸プール(蓄え)として維持され、必要に応じて利用されます。
近年の研究により、タンパク質の形ではなく、アミノ酸として摂取することで、アミノ酸のもつ薬効を効率的に得られることが明らかになりました。
それぞれのアミノ酸の特徴から、自分の目的にあった組合せでタイミングよく利用することで、最大の効果を得ることが出来るようになります。
アミノ酸は、種類によって、それぞれが異なった働きをもっています。
バリン、ロイシン、イソロイシンの3つの必須アミノ酸は、特に分岐鎖アミノ酸(BCAA)と呼ばれ、筋肉で代謝されます。
BCAAは筋肉繊維を構成するタンパク質の主成分であり、筋肉量の維持や筋力の増強に効果があります。また、ダイエット目的にも利用されています。
肝不全の患者では、BCAAの血中濃度が低く、芳香族アミノ酸であるチロシン、フェニルアラニン、トリプルトファンが高いです。
そこで、BCAAが肝不全に伴う脳症の発症予防に利用されます。
グルタミンは消化性潰瘍の治療薬として利用されており、消化管の粘膜への作用をもっています。
フェニルアラニンは、神経伝達物質の前駆体として重要なアミノ酸であり、また、チロシンやトリプトファンも、セロトニンやエピネフリンの前駆体です。
アルギニンは、免疫力を高める効果をもっています。
アラニンとグルタミンを同時に摂取することで、肝臓でのアルコール代謝促進や、肝障害の予防効果が発揮されます。
アミノ酸サプリメントの効能効果
- BCAA(分岐鎖アミノ酸):筋肉の増強、タンパク質同化。
- アラニン:アルコール分解促進、肝臓の保護。
- グルタミン:消化管粘膜精製促進。
- アルギニン:免疫賦活作用、肝臓の保護。
アミノ酸効能効果根拠
動物実験や、人による臨床試験によって、それぞれのアミノ酸のもつ効果が確認されています。
たとえば、運動選手を対象にして味の素が行った研究によると、BCAAにグルタミン酸とアルギニンを加えたサプリメントを投与することで、筋肉疲労の回復促進や肝臓保護作用、造血促進作用がなどが認められたということです。
なお、アミノ酸を摂るだけで脂肪分解が促進されるとか、ダイエットに効果があるというデータはありません。
サプリメントだけではなく、運動との併用が必要です。
サプリメント摂取方法
一般に、一日当たり2~6g程度をアミノ酸サプリメントとして摂取します。
自分の目的に合ったアミノ酸が十分量含まれているか確認します。
たとえば、いわゆるアミノ酸入り清涼飲料水では、目的とするアミノ酸の種類や量が十分ではない場合があります。
スポーツやダイエットにBCAAを利用する際には、運動の直前もしくは直後に摂ると良いでしょう。
アミノ酸の注意する点
通常の食材に由来する成分であり、問題となる健康被害や副作用は報告されていない。
他のサプリメントや医薬品との相互作用は報告されておらず、併用は問題ないでしょう。
体タンパク質を構成するアミノ酸
必須アミノ酸 | 非必須アミノ酸 | ||
バリン | Val | セリン | Ser |
ロイシン | Leu | グリシン | Gly |
イソロイシン | Ile | アラニン | Ala |
スレオニン | Thr | チロシン | Tyr |
メチオニン | Met | システイン | Cys |
リジン | Lys | アスパラギン酸 | Asp |
ヒスチジン | His | アスパラギン | Asn |
フェニルアラニン | Phe | グルタミン酸 | Gln |
トリプトファン | Trp | グルタミン | Glu |
アルギニン | Arg | ||
プロリン | Pro |
アミノ酸の薬理作用
アミノ酸 | 対象となる病態 | 期待できる作用 |
アルギニン | 肝臓疾患 高アンモニア血症状 | 免疫力賦活 アンモニア低下 尿素サイクル活性化 動脈硬化予防 |
グルタミン | 胃潰瘍 十二指腸潰瘍 | 胃粘膜生成促進 |
バリン、ロイシン、 イソロイシン | 肝臓疾患用薬 術後輪液 | タンパク質同化作用 |
アラニン | - | アルコール代謝促進 |