カテキン

カテキンとは、緑茶に含まれるファイトケミカルであり、ポリフェノール類に属します。がんなどの生活習慣病への効果が期待されます。

緑茶のカテキン類にはEC(エピカテキン)、GCG(ガロカテキンガレート)、EGC(エピガロカテキン)、EGCG(エピガロカテキンガレート)などがあり、特にEGCGが重要です。

EGCGの作用メカニズムの一つは、がん細胞の増殖を抑えアポトーシス(細胞死)を誘導すること、もう一つは、腫瘍細胞への栄養血管となる血管新生を抑制するといった作用による抗がん効果が確認されています。

また、いくつかのがん細胞において、DNA複製を阻害するというデータも確認されています。

動物実験においては、緑茶抽出物が、紫外線による酸化的ストレスに伴う皮膚の障害を少なくすることも確認されています。

その他、胃粘膜保護効果、急性胃潰瘍改善効果、脂質過酸化抑制効果、放射線障害抑制効果なども確認されています。

緑茶には抗酸化効果も認められており、メカニズムの詳細は不明ですが、フラボノイド類やカテキン類が共同して働くことで、酸化的ストレスに伴う弊害を防ぐと考えられます。

カテキン以外の緑茶の有効成分が持つ作用として、タンニン類による抗菌効果や整腸効果、フラボノイド類によるLDL(悪玉)コレステロール酸化抑制作用などがあげられます。

カテキンの効能効果

抗酸化効果、胃粘膜保護効果、脂質過酸化抑制効果、抗肥満効果、高脂血症改善効果、口内炎予防効果、抗がん作用(食道がん、胃がん、膵臓がん、膀胱がんなど)



カテキン効能効果根拠

緑茶の抗がん作用については、これまでに多くの疫学調査のデータが報告されています。

具体的には、緑茶の摂取量が多いほど、ガンの発生率が低いという調査報告です。
例えば、緑茶の摂取による次のような効果です。

  • 乳ガン再発予防効果
  • 卵巣ガン予防効果
  • 胃ガン予防効果...など

緑茶の摂取が多いほど胃ガンが少ないという研究結果は、静岡県での疫学調査や、中国各地で行われた調査により確認されています。

ただし、緑茶による胃ガン予防効果が認められなかったとする報告もありますので、緑茶の抗ガン作用については、さらに研究が必要といえるでしょう。

最近、緑茶カテキンの抗肥満効果が確認されています。

例としては、男女80人の肥満者を対象にした臨床試験で、1日あたり588mgのカテキンを12週間投与した結果、体重や体脂肪量が有意に低下したという報告です。

また、このとき、男性では内臓脂肪、女性では皮下脂肪が減少したというデータがあります。

なお、それ以外にも、花王の研究グループから、健常者や肥満者を対象にした研究で、肥満や高脂血症に対する効果が報告されています。

血清脂質に対する試験

・試験デザイン:前向きコホート研究

  • 対象:埼玉県の40歳以上の一般住民男性
  • 人数:1371人
  • 期間:5年間
  • 摂取量:1日のお茶飲用量で3群に分けて比較。
    3杯以下の群、4~9杯群、10杯以上の群
  • 結果:総コレステロール、LDL-コレステロール+VLDL-コレステロール、中性脂肪は緑茶の飲用量が増すにつれて有意に減少、HDL-コレステロールは10杯以上の群で高く、動脈硬化指数は10杯以上の群で最も低い結果になりました。

抗肥満に対する試験

・試験デザイン:オープン・ラベル試験

  • 対象:BMIの基準で普通~肥満1度に属する健常な男性(27~47歳)
  • 人数:23人
  • 投与量:被験物質茶カテキンの投与量で2群に分けた。
    LDC (Low Dose Catechin)群:カテキン量118.5mg/日、HDC(High Dose Catechin)群:カテキン量483.0mg/日を4週間および12週間
  • 結果:HDC群では12週目で体重、BMI、ウエスト周囲径、体脂肪率、腹部脂肪、総コレステロール値、血中グルコース、血中インスリン、PAI-1は初期値に比べ有意に減少しました。
    LDC群では、体重、BMI、血中インスリンのみ減少しました。
    カテキンは人の肥満抑制に対して有効であることが示唆されました。

糞便の状態に対する試験

・試験デザイン:全被験者を投与群とするオープン・ラベル試験

  • 対象:静岡県の老人ホームに入居している高齢者(食事は全員同じ内容でお粥や刻み食を摂取)。平均年齢85.4歳(66~98歳)
  • 人数:35人(男性4人、女性31人)
  • 投与量:茶カテキン100mg×3回(毎食)/日を6週間
  • 結果:分析項目は糞便の水分量、pH、アンモニア量、硫化物、酸化還元電位。
    カテキン投与前に比べ、投与期間中各項目で有意に減少したが、茶カテキン投与前に比べ、投与期間中各項目で有意に減少したが、茶カテキン投与を停止すると投与前のレベルに戻る傾向がみられました。
    糞便臭も投与期間中、16人の糞便で軽減していることが確認されました。

カテキンの摂取方法

短期間での効果は期待が低いので、継続して摂取するのが望ましい。

カテキンの注意する点

通常の食材に由来する成分であり、問題となる健康被害や副作用の報告はされていせん。

なお、緑茶の摂取に伴う症状として、胃腸障害や不眠などがあります。

これらは、いずれもカテキンによるのではなく、カフェインによる作用です。
通常、緑茶一杯には10~80mgのカフェインが含まれており、交感神経系の機能を高める(興奮させる)効果があります。

したがって、これらの症状が不快と感じるのであればカフェインを除いた緑茶を飲むか、サプリメントを服用するのが良いでしょう。

緑茶に含まれるタンニン類は、鉄分の吸収を阻害します。
ただし、鉄分のサプリメントや医薬品についてはタンニン類の影響を受けない製品が一般的になっています。

このため、鉄分を補う上で注意して食材を選んでいる場合は、食事と一緒に緑茶を飲むのを控え、時間をあけて摂取したほうが良いでしょう。
しかし、併用による吸収阻害の影響は、少ないとの報告もあります。



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