クランベリー
クランベリーエキス(あるいはジュース)は、女性に多い膀胱炎や尿道炎などの尿路感染症を予防する効果があます。
女性は男性に比べて尿道が短いため、細菌が侵入しやすく膀胱炎・尿道炎を起こしやすく、女性の60%が一度は尿路感染症を起こすといわれます。
また、少なくとも3分の1の人が1年以内に再発を経験しています。
再発は、20歳代後半と55歳以上の女性に特に多くみられます。

クランベリーに含まれる有効成分が、細菌の付着・増殖を抑え、感染を予防します。
クランベリーの有効成分は、プロアントシアニジンというファイトケミカル(植物由来の抗酸化栄養素)です。
これは、クランベリーの赤い色素を構成する成分であり、タンニン類の中のエピカテキンに分類されます。
プロアントシアニジンは、抗酸化作用、抗菌作用、抗ウイルス作用などをもっています。
これまでの研究により、細菌の細胞膜の合成を阻害することで細菌の増殖を抑制する効果や、細菌が細胞表面へ付着するのを妨害して感染を予防する効果などが確認されてきました。
また、クランベリーに含まれる有効成分が体内で酸性物質に変化して尿中に排泄されることで、尿のpHを下げて尿を酸性に保ち、細菌の増殖を抑制するというメカニズムも示唆されている。
クランベリーは膀胱炎・尿道炎の原因菌である大腸菌などの増殖を抑えたり、尿路系の細胞への付着・感染を抑えたりすることで、尿路感染症を予防する効果があります。
具体的には、大腸菌類の60%に対して感染防止効果があります。
なお、これはクランベリー特有の効果であり、同じツツジ科に属するブルーベリー(ビルベリー)にはこれらの作用は認められていません。
クランベリーの効能効果
膀胱炎や尿道炎など尿路感染症の予防、細菌尿の改善作用、尿路感染症の再発予防など。
クランベリーの効能効果根拠
これまでに、クランベリーエキスサプリメントやクランベリージュースを使った研究が行われ、クランベリーのもつ効果が証明されています。
たとえば、2001年に『イギリス医学ジャーナル』に報告された研究では、150人の女性を対象にして大腸菌による尿路感染症の再発予防効果が検討されました。
被験者は、(1)クランベリージュースを毎日飲むグループ、(2)乳酸菌飲料を週に5日間飲むグループ、(3)対照群の3群に分けられ、再発に関しての追跡調査が1年間行われました。
まず6カ月後までの再発率は、クランベリージュース群では16%であったのに対して、乳酸菌飲料群では39%、対照群では36%でした。
12カ月後でもクランベリージュース群では、有意に再発率が低いことが確認されました。
この他、数多くの研究で、クランベリーが尿路感染症の発症および再発を予防する効果が明らかとなっています。
また、153人の高齢女性を対象にした研究では、クランベリーによって、細菌尿が改善したという報告があります。
さらに、基礎研究では、クランベリーの有効成分・プロアントシアニジンの抗ガン作用、抗菌作用、LDL(悪玉)コレステロール酸化抑制作用などが確認されています。
尿路感染症に対する試験
1.試験デザイン:プラセボを対照とした無作為化二重盲検試験。
- 対象:尿路感染症再発経験のある女性(18~45歳)
- 人数:10人
- 投与量:クランベリーカプセル400mg×2カプセル/日を3ヵ月
- 結果:クランベリー摂取により尿路感染症の再発が減少しました。
2.試験デザイン:プラセボを対照とした無作為化二重盲検試験。
- 対象:尿路感染症再発経験のある女性(平均年齢78.5歳)
- 人数:153人
- 投与量:27%クランベリージュース300ml/日を6ヵ月。投与終了後2カ月間観察期間
- 結果:試験期間中ではクランベリージュース投与において尿中のバクテリアと白血球の増加が抑えられており、試験終了後2カ月ではプラセボ群と比較して尿路感染症の再発率が低く抑えられました。
3.試験デザイン:オープン・ラベル試験。
- 対象:ウロストーマ患者7人、尿道留置カテーテル2人(男性7人、女性2人 61~80歳)
- 人数:合計9人
- 投与量:50%クランベリージュース320ml/日を10日間投与
- 結果:カテーテル留置群(高度尿路感染)5人中2人で尿のpH低下が見られ、カテーテル非留置群では4人中3人で尿のpH低下が認められました。
クランベリーの摂取方法
無糖のジュースとして、あるいは有効成分を抽出したサプリメントとして摂取します。
毎日継続して摂ることが効果的であるため、サプリメントのほうが利用しやすいでしょう。
予防目的では500~1000mg摂取します。
なお、尿路感染症を発症後、抗生物質の服用を望まない場合、2000~8000mgのクランベリーエキスが治療目的で投与されています。
クランベリーの注意する点
通常の食材に由来する成分であり、果実やジュース、ジャムなどの加工品としての食経験は長く、問題となる健康被害や副作用は報告れていないため、安全であると考えられます。
他のサプリメントや医薬品との相互作用は確認されておらず、一般的な使用の範囲内であれば、併用は問題ないでしょう。
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