ブラックコホシュ

更年期障害に伴う諸症状や月経不順を改善するハーブです。
サプリメントとして使用されるのは、根に含まれる成分です。

ブラックコホシュの有効成分としては、テルペン類やタンニン類などが含まれています。
 
ブラックコホシュに女性ホルモンであるエストロゲン様の成分を認めたとする研究もありました。
しかし、最近の研究では、エストロゲン様物質は存在しないという結果も出ており、作用メカニズムはまだ明らかではありません。
 
臨床試験では、卵胞刺激ホルモンや黄体形成ホルモン、プロラクチンなどのホルモンの濃度変化は認められていません。

ブラックコホシュの効能効果

  • 更年期障害としてのほてりや発汗の抑制、月経前緊張症の改善、関節痛の改善など。


ブラックコホシュ効能効果根拠

これまでに10のうち9つの臨床試験(合計1371人が対象)において、更年期障害の改善が報告されています。
 
たとえば、2002年に報告された臨床試験では、149人の更年期あるいは閉経後の女性を対象に、12~24週間、39mgあるいは127.3mgのブラックコホシュを投与したところ、更年期障害の症状が改善されました。
このとき、膣の組織に対してエストロゲン様効果も認められたといいます。
 
また、85人の乳ガン治療後の患者を対象に2カ月間、ブラックコホシュを投与した結果、発汗過多の改善が認められました。

次に、子宮摘出術を受けた60人の女性を対象にして、6カ月間投与した臨床試験では、エストロゲン治療と同等の効果を認めました。
 
さらに、1997年にドイツで行われた臨床試験では、152人の更年期障害の患者を対象にしてブラックコホシュを投与し、症状の改善が認められたという報告があります。

2003年に報告された臨床試験では、乳がん治療後の患者136人を対象に、タモキシフェン(乳がん治療剤)にブラックコホシュを併用し、ほてりに対する効果が検証されました。

1日あたり40mgのブラックコホシュを1年間併用することで、ほてりの改善が認められました。
また、併用によって、特に問題となる副作用は生じていません。

更年期症状に対する試験

・試験デザイン:従来治療(タモキシフェン)群と、従来治療にブラックコホシュ製剤を投与する介入群を比較するオープン試験

  • 対象:タモキシフェンの副作用であるホットフラッシュに悩む乳がん既往症歴の閉経前の女性
  • 人数:136人
  • 投与量:タモキシフェン20mg+ブラックコホシュ製剤20mg/日を12ヵ月間
  • 結果:介入群では半数の人がホットフラッシュを感じなくなり、重度なホットフラッシュを感じる人も、従来グループでは73.9%に対し、介入群では24.4%と有意に減少しました。

ブラックコホシュの摂取方法

1日あたり40mg(~200mg)を2回に分けて摂取します。
ブラックコホシュの錠剤は、テルペン類の成分で標準的な量に調整された製品が一般的です。
 
抽出液(1:2)を利用する場合は1日あたり1.5~3.0ml、チンキ(1:10、60%アルコール)では0.4~2.0ml。

ブラックコホシュの注意する点

一般に、特に問題となる健康被害や副作用は報告されていません。
ただし、ブラックコホシュにより、胃部不快感や頭痛といった症状が現れることがあり、これらの症状がみられたら使用を見合わせましょう。
 
エストロゲン様作用をもつサプリメントと併用する際には、症状の変化に注意し、異常が認められたら医師に相談しましょう。
婦人科系疾患の医薬品(たとえばホルモン剤や抗ガン剤)を服用している場合には、まず医師に相談することが大切です。
 
ブラックコホシュが、閉経後に認められる骨粗鬆症や心臓疾患に対して効果をもつかどうかはまだ明確になっていません。
 
なお、ブルーコホシュというハーブは別物であり、混同しないように注意しましょう。



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