バレリアン

バレリアン(和名:セイヨウカノコソウ)は、不眠症に対して欧米でよく使用されており、臨床試験ではその効果が確認されてきました。
通常の用量を用いる限り、安全性は比較的高いハーブです。

有効成分は、テルペン類や揮発油成分、アルカロイドなどです。
これらの有効成分が共同して中枢神経系に作用し、ギャバ(γアミノ酪酸)の働きを介して効果を発揮すると推定されています。

バレリアンの効能効果

  • 睡眠障害(不眠症)、不安感など。

バレリアン効能効果根拠

バレリアンに関する臨床試験としては、連続投与(8~28日間)による研究と、非連続投与(1~4回投与)による研究が行われており、9つの論文が報告されています。

そのうち、5つの臨床試験において、バレリアンの不眠症などに対する有効性が認められました。
 
特に、100人以上の被験者を対象にした2つの臨床試験では、いずれもバレリアンの有効性が示されています。

たとえば、121人の被験者を用いた臨床試験では、バレリアンを4週間投与したあとに、不眠症改善効果を認められました。
 
また、医薬品の長期連用による不眠症に対して、バレリアンが有効であったとする臨床試験も知られています。
 
さらに、知的障害と多動性をもち、睡眠障害を訴える児童生徒(7~14歳の男児5人)を対象にした臨床試験で、バレリアンの効果が示されました。



睡眠に対する試験

・試験デザイン:被験者全員を対照としたオープン・ラベル試験

  • 対象:軽度から中程度の不眠症患者
  • 人数:30人
  • 投与量:バレリアン抽出物500mg/日+ホップ抽出物120mg/日(就寝1時間前)を2週間
  • 結果:睡眠モニター試験において、2週間の服用後、入眠潜時と覚醒時間の減少、睡眠段階1の減少、徐波の増加が確認され、睡眠が改善されたことが示唆されました。

バレリアンの摂取方法

臨床試験では、400~900mgのサプリメントが使用されており、これはバレリアン乾燥末の1.5~3.0gに相当します。
サプリメントによっては50~100mg投与という場合もあります。
 
不眠症に対しては、就寝30分~1時間前に服用します。
短期間でも効果を認めるが、1カ月程度続けることで睡眠の質が改善します。
 
また、不安感やストレス、神経症などに対する鎮静作用を期待する場合には日中でも使用します。

バレリアンの注意する点

バレリアンの使用時に、頭痛などの訴えが報告されています。
しかし、一般に不眠症患者は不定愁訴が多く、バレリアンを用いた臨床試験でも、副作用の訴えは、バレリアン群とプラセボ(偽薬)群の両者に同様に認められています。
バレリアンに特有な副作用は知られていません。
 
なお、妊娠中や授乳中での使用は、臨床データが存在しないため、念のため利用を避けるほうが良いでしょう。
 
通常量のバレリアンでは、依存性や反跳性不眠などは報告されていません。
 
医薬品や他のサプリメントとの相互作用は報告されていません。
アルコールによる作用の増強もありません。
しかし、一般に催眠作用のある医薬品や、中枢神経抑制作用のある薬剤との併用は避けた方が良いでしょう。



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