リコピン
リコピン(リコペン)は、カロチノイド系ファイトケミカルの一種で、赤い色の色素成分です。
トマトやピンクグレープフルーツなどに多く含有されています。
トマトを多く食べている地域で、前立腺がんや肺がんが少ないことが報告され、注目されるようになりました。
リコピンはカロチノイドの一種ですが、β-カロチンなどとは異なり、ビタミンAの前駆体ではありません。
リコピンは、抗酸化作用により、がんなどの生活習慣病を予防すると考えられています。
基礎研究では、リコピンによるLDL(悪玉)コレステロール酸化抑制作用、乳がんや肺がん、前立腺がんの細胞増殖抑制効果が確認されています。
リコピンの効能効果
前立腺がんの予防および治療、虚血性心疾患の予防、肺がんの予防、運動誘発性喘息の予防と治療など。
リコピンの効能効果根拠
リコピンのがんに対する効果は、疫学調査や臨床試験、基礎研究などにより多く報告されています。
疫学調査では、食事から一日あたり6㎎以上のリコピンを摂取している人では、前立腺がんの発生率が低いという結果が報告されています。
また、臨床試験としては、外科手術を控えた前立腺がんの患者に、一日当たり30㎎のリコピンを3週間にわたり投与したところ、腫瘍組織の増殖が抑制されたという結果が確認されています。
肺ガンについては、非喫煙者の男性では12mg、女性では6.5mgの食事由来のリコピンが予防効果が見られました。
また、リコピンの摂取量が多いほど、心筋梗塞のリスクが低くなることが報告されています。
その他、運動誘発性喘息に対する効果を検証した臨床試験では、リコピンの予防効果が確認されました。
リコピンの摂取方法
ガンなど生活習慣病の予防や改善を目的とする場合、短期間では効果が期待できないので、継続して利用する必要があります。
1日あたりの摂取量の目安は、前立腺ガン予防では6mg、肺ガン予防では6~12mgです。
また、前立腺ガンの治療目的には、30mgのサプリメントが利用されています。
一般的な食生活では、リコピンはトマトおよびトマト製品に由来します。
たとえば、トマトジュース240mlにはリコピンが23mg含まれています。
ただし、吸収効率の点からは、生のトマトよりは加熱調理するほうが効果的です。
リコピンは脂溶性であるので、食事と一緒に摂取するのが良いでしょう。
リコピンの注意する点
通常の食材に由来する成分であり、一般的な摂取量では、特に問題となる健康被害や副作用は確認されていない。
他のサプリメントや医薬品との相互作用は報告されておらず、併用は問題ないと考えられます。
なお、リコピンは、前立腺ガンの腫瘍マーカーであるPSAの測定には影響を及ぼしません。