フォルスコリン(コレウス・フォルスコリ)

コレウス・フォルスコリとは、シソ科の植物の一種であり、インドでは伝統的に滋養強壮を目的として食用に用いられてきました。

有効成分の「フォルスコリン」(ファースコリン)はcAMP(アデノシン-リン酸)の生成を増加させることで、交感神経系を介して、さまざまな生理作用を発揮します。
 
特に、体重調節に関して、除脂肪体重を維持しつつ、体脂肪を減らすという効果が注目されています。

コレウス・フォルスコリの有効成分はジテルペン化合物のフォルスコリンであり、他にも数種類のジテルペン類が存在しています。

フォルスコリンは、細胞内のアデニル酸サイクラーゼを活性化する作用をもっています。
アデニル酸サイクラーゼはcAMPを産生する酵素であり、cAMPは細胞内における情報伝達を司る分子です。

cAMPは、交感神経系を介した作用機序において働き、抗炎症作用や気管支拡張作用、血圧低下作用などを示します。
つまり、フォルスコリンは、cAMPの産生を介して交感神経系に働き、細胞内の代謝において重要な役割を果たしています。

フォルスコリンは、体重や体脂肪の調節に関しての作用も有しています。
たとえば、「食事誘導性熱産生」(摂食により冗進する熱産生) を引き起こすことで、消費エネルギーを高めるといいます。

その他、cAMPが交感神経系を介して細胞のエネルギー代謝に作用する成分であることから、フォルスコリンの投与によって、体脂肪の減少効果が期待されます。

フォルスコリンの効能効果

  • 抗肥満作用、アデニル酸サイクラーゼ活性化を介したcAMP産生増加作用、交感神経系賦活作用など。


フォルスコリン効能効果根拠

インドのサビンサ社の登録商標であるフォースリーン(コレウス・フォルスコリ抽出物)を用いた臨床試験が報告されています。

まず、女性の肥満者4人を対象に、生活習慣に対する助言に加え、フォースリーン500mg(フォルスコリン50mg相当)を12週間投与した臨床試験では、除脂肪体重の有意な増加を認め、体脂肪量は減少傾向にあったということです。

次に女性の肥満者6人を対象とに、フォースリーンを8週間、食事の30分前に投与した臨床試験では、体重と体脂肪が有意に減少し、除脂肪体重が有意に上昇しました。
このとき、血圧は低下傾向にあったといいます。

その他、フォースリーンダイエットを肥満者26人に8週間投与した臨床試験では、体重と体脂肪率の有意な減少、除脂肪体重の有意な増加が確認されています。

フォルスコリンの摂取方法

減量目的の場合、生活習慣の改善に加えて、目安量を摂取します。
 
「コレウス・フォルスコリ」の根の抽出物がサプリメントとして利用されます。
「フォースリーン」の他、さまざまな商標の製品が入手できますが、有効成分であるフォルスコリンの含有量を目安に選択すると良いでしょう。

フォルスコリンの注意する点

通常の食材に近い成分であり、動物実験における安全性試験及び人を対象にした臨床試験では、特に問題となる健康被害や副作用は報告されていません。
稀に、一過性の軽度な下痢症状を認めることがあります。
 
他のサプリメントや医薬品との相互作用は報告されておらず、併用は問題ないと考えられます。

ただし、作用機序の類似したダイエット・サプリメントとの併用には、念のために注意しましょう。