チェストツリー
チェストツリーは、ヨーロッパにおいて月経不順や月経前緊張症(PMS)などの改善に利用されているハーブです。
和名はセイヨウニンジンボク(イタリアニンジンボク)といいます。
古代ローマやギリシャ時代には、男女の両方に対する制淫薬として利用されていました。
ドイツでは現在、チェストツリーが、月経前緊張症、黄体機能不全症、(女性ホルモンの不調に伴う)ざ創(にきび)などに広く用いられています。
有効成分として、テルペン類、フラボノイド類、イリドイド配糖体他、揮発油成分などが含まれます。
女性ホルモンの調整作用として、プロゲステロン(黄体ホルモン)のレベルを上げ、エストロゲン(卵胞ホルモン)のレベルを抑制します。
つまり、脳下垂体においてFSH(卵胞刺激ホルモン)の分泌を抑え、LH(黄体形成ホルモ)の分泌を促すことによって効果を現します。
さらに、プロラクチンの分泌を抑える効果もあります。
チェストツリーの効能効果
高プロラクチン血症の改善、月経前緊張症の改善、黄体機能不全症の改善、ざ創の改善など。
チェストツリーの効能効果根拠
チェストツリーの効果を検証した18の臨床試験において、合計8336人の被験者が対象となっており、月経前緊張症や月経不順、黄体機能不全症などへの効果が確認されています。
たとえば、2000年に報告された臨床試験では、1634人の月経前緊張症患者(年平均齢35.8歳)に対して40mgのチェストツリーが投与された結果、月経3周期後に93%の患者で症状の改善あるいは消失が確認されたと報告されています。
1991年に報告された臨床試験では、2447人の月経不順の患者にチェストツリーが平均5カ月間投与された結果、90%以上の患者において改善が確認されています。
その他、座蒼に対する効果も報告されています。
月経前症候群に対する試験
・試験デザイン:抗うつ剤を対照とする無作為化一重盲検試験
- 対象:月経前不快気分障害(PMDD)をもつ成人女性(24歳~45歳)
- 人数:41人(チェストツリー群20人、フルオキセチン群21人)
- 投与量:チェストツリー20~40mg/日またはフルオキセチン20~40mg/日を2か月間
- 結果:月経前症状をハミルトンうつ病尺度をはじめとする数種の指標を用いて自己回答させたところ、チェストツリーもフルオキセチン同様に症状の改善がみられました。
チェストツリーの摂取方法
一般に、30~40mgの乾燥果実に相当する量を摂取します。
チェストツリーの注意する点
比較的安全性の高いハーブであり、特に問題となる健康被害や副作用は報告されていません。
臨床試験では、1~2%の患者に発疹や頭痛、口渇感、悪心などが認められています。
女性ホルモン様作用をもつサプリメントと併用する際には、症状の変化に注意し、異常が認められたら医師に相談しましょう。
さらに、婦人科系疾患に対して何らかの医薬品を服用している場合には、まず医師に相談すると良いでしょう。
また、妊娠中や授乳中は、ホルモンバランスに影響を与える可能性があるので、念のために使用を控えましょう。
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