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オクラの原産はアフリカで、エジプトでは紀元前から栽培されてきたという歴史のある野菜です。
日本へは中国を経て江戸時代末期に持ち込まれました。
ハイビスカスでなどと同じアオイ科で、1~2mと大きく育ちます。
夏に黄色い大きな花を咲かせますが、あっという間に花はしぼみ、その下から小さなロケット形のさやが顔を出し、2~3日で収穫できます。
オクラは大きくなりすぎる前の実を食べます。
熱帯地域では、カレー、煮込み、スープ、ピラフなど、様々な料理に使われています。
夏場が旬のオクラは、暑さのせいで胃腸の弱った8月ごろが一番美味しく、刻むと糸を引くネバネバが消化を助ける働きをしてくれます。
このネバネバの正体は、ペクチンという水溶性の食物繊維と、ムチンという糖タンパク質です。
果物に多く含まれるペクチンは、高い整腸作用で便秘と下痢の両方に良く、ムチンには他のタンパク質の消化吸収を助ける働きがあります。
これらの成分は、粘膜を保護し、胃腸の働きを助けます。
ペクチンとムチンは、共に水溶性ですので、やわらかければ生のまま刻んで食べるのがお勧めです。
包丁の背でたたくとネバネバが良く出ます。
かたい場合には、あくまでサッとゆでて栄養素を損なわないように食べると良いでしょう。
オクラに多く含まれるペクチンには、整腸作用以外にも、コレステロールを下げる働きがあり、生活習慣病が気になる方にお勧めの食材です。
食物繊維には水に溶ける「水溶性」と溶けない「不溶性」があります。
ヌルヌルした水溶性は腸内でゼリー状に変わり、血糖値の上昇を抑え、コレステロールを排出します。
不溶性は水を吸って腸内でふくれ、腸の活動を促進するので、便秘の改善効果があります。
オクラにはどちらも多く含まれています。
オクラに含まれるファイトケミカルのクロロフィルには紫外線などに対する強い抗酸化作用が期待でき、マグネシウムには夏の暑い時期のイライラを抑える作用があります。
オクラで忘れてはならないのが栄養価の高さです。
オクラはビタミンA(β-カロテン)、葉酸、ビタミンE、そしてカルシウムなどのミネラルなども豊富で栄養価が高い野菜で、暑い時期食欲が落ちたときにもぴったりな食材です。
ネバネバ仲間の長いも、納豆、なめこなどと組み合わせれば、食べやすいスタミナメニューになります。
また、フカヒレやスッポンといった高級食材に含まれているコンドロイチンが、オクラにも含まれています。
コンドロイチンはとくに関節軟骨の形成に深く関わっており、成長期の子どもにとっても大切な成分です。
オクラの粘りを強く出すには、細かく刻んでよくかき混ぜるのがポイントです。
長く煮ると粘りが溶け出してしまうので注意しましょう。
サラダやおひたしなどはサッと湯通しする程度にして刻めば色も鮮やかに仕上がります。
お酒を飲むときの肴におすすめです。
新鮮であるほど産毛がしっかり生えているので、口当たりが気になるときは、茹でる前に塩でこすり、産毛を落とすと色よく仕上がります。
鮮度のよい物なら生でも食べられます。
オクラの種を焙煎し、すりつぶして抽出したのがおくら茶です。
大麦を使った麦茶や黒大豆を使った豆茶同様に、カフェインの入っていない健康飲料として飲まれています。
以前、コーヒーの代用として飲まれたこともあり、「オクラコーヒー」と呼ばれることもありますが、風味は野草茶に似ています。
鮮やかな緑色で、ぶ毛が密集しているもの。
同じ大きさなら重いもの。
オクラを買う際は、ヘタの切り口が新しく緑色が濃く筋張っていないものを選ぶと良いでしょう。
大きく育ちすぎると、筋張ってしまうので、小ぶりなものを選びましょう。
オクラは、もともと原産地が気温の高い地域なので、低温保存は苦手です。
冷蔵庫で保存する場合は、低温障害を起こさないように、ポリ袋に入れて必ず野菜室で保存します。
傷みやすく、すぐしんなりとしてしまいますので、早めに食べるか、食べきれない時は、茹でて冷凍すると良いでしょう。
抗酸化症のあるβ-カロテンを含むオクラは、油と合わせることで吸収率が高まるので炒め料理に用いると良いでしょう。
また、ビタミンB1やビタミンCも貴重で、これらを摂取するには、生のままがベストです。
新鮮ならやわらかいです。
玉ねぎに含まれるアリシンは、オクラに含まれるビタミンB1の吸収率を高める働きがあります。
これにより疲労回復やストレス緩和の効果を期待できます。
オクラに含まれる消化器の粘膜を守るムチン、疲労回復のビタミンB1に、牛肉に含まれる体内の機能を調整する酵素やホルモンの原料となるタンパク質を合わせて取ることで、体の状態が整い、スタミナアップにつながります。
また、オクラのカルシウムが、牛肉の良質なタンパク質によって吸収されやすくなり、骨粗しょう症予防に役立ちます。