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さつまいもの栄養、効能効果
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冬の足音が聞こえ始めると、街角から漂ってくるあの甘く香ばしい匂い。
焼きたてのさつまいもを両手で割り、立ち上る白い湯気とともに黄金色の中身が現れた瞬間、私たちの心は無条件に緩んでしまいます。
けれど、鏡の前でため息をつくあなたは、こんな風に自分を責めていませんか?
「あぁ、甘いから太りそう」
「糖質制限中だから、お芋なんて我慢しなきゃ」
もしあなたが、その甘さを理由にさつまいもを遠ざけているとしたら、それは管理栄養士として言わせてください。人生の損失です。
私はこれまで、延べ1万人以上の食事指導をしてきましたが、多くの女性が「正しい我慢」ではなく、「間違った罪悪感」で心をすり減らしているのを見てきました。
さつまいもは、単なる炭水化物ではありません。
それは、自然界が私たちに贈ってくれた「カプセルに入っていない天然のサプリメント」であり、疲弊した現代人の心と体を癒やす「甘美な薬箱」なのです。
今日は、一口ごとの効能を言葉で処方するように、さつまいもが持つ「免疫力を高める力」と「美容効果」について、熱く、深く、お話しさせてください。
「食べる」ということは、一生続く自分自身の体へのラブレターなのですから。

さつまいも(薩摩芋)はヒルガオ科の多年草で、中央アメリカが原産です。
日本には、17世紀の初頭にポルトガル人によって薩摩の国(現在の鹿児島県)にもたらされたのが名前の由来。江戸時代には、あの青木昆陽によって飢饉を救う作物として全国に普及しました。
歴史の荒波を越えて人々を救ってきたこの食材は、現代においても私たちの「不調」を救う救世主です。
従来は暖かい風土の穀物ですが、いまでは日本全国、北海道にまで広がって栽培されています。
さつまいもは、でんぷんと糖分を豊富に含んでいるため、焼いもにして食べると、甘くホクホクしていて大変おいしく頂けます。
おかずとして、煮る、蒸す、揚げるなど、様々な料理にも利用できる便利な食材です。
本来の旬は9~11月ですが、最近は貯蔵技術が進んでいるため、年間を通して出回っています。
実は、「冬場すぎに出回る貯蔵もの」こそが狙い目です。鮮度は採れたてにかないませんが、水分が適度に抜け、糖度が増して、かえって甘く、栄養も凝縮されているからです。


病院で栄養指導をしていた頃、糖尿病予備軍の方やダイエット中の方から、判で押したようにこう言われました。
「先生、芋類はご飯と同じだから控えています」と。
確かに、栄養学の教科書を開けば、さつまいもは「炭水化物」のグループに分類されます。しかし、白米や食パンとさつまいもには、決定的な違いがあります。
それは「栄養の密度」です。
精製された穀物が、削ぎ落とされた純粋な「エネルギー(糖質)」であるのに対し、さつまいもは、そのエネルギーを体内で正しく燃やし、細胞を再生させるための「ビタミン」や「ミネラル」を、あらかじめ自身の身の中にたっぷりと蓄えているのです。
ただの数字の羅列に見えるかもしれませんが、これらはすべて、あなたの体を守る「盾」となる成分です。
これらが、あの1本の芋の中に、複雑かつ絶妙なバランスで詰め込まれています。
私がスーパーでさつまいもを手に取る時、それは単なる食材選びではありません。
「これは、土の中でじっくりと育まれた、大地の母乳のような優しさです。」
では、具体的にどのような「良いこと」があなたの体に起こるのでしょうか?
最新の栄養学エビデンスに基づき、私が特に「ここだけは伝えたい!」と願う効能効果について紐解いていきましょう。

この「攻め」と「守り」のダブル効果こそが、さつまいもが最強の免疫フードと呼ばれる所以です。
「ビタミンCは熱に弱い」
これは栄養学の常識ですが、さつまいもにはこの常識が通用しません。
通常、ビタミンCは加熱すると壊れてしまいますが、さつまいものビタミンCは、デンプン質の粒子によって鉄壁のガードを固めています。まるで頑丈なカプセルに守られているかのように、加熱調理をしてもその残存率は極めて高いのです。
ビタミンCは、肌のハリを保つ「コラーゲン」の生成に不可欠であり、紫外線ダメージによるシミ・ソバカスの元(メラニン色素)の生成を抑える働きがあります。
「一口かじるたび、デンプンの鎧に守られたビタミンCが、あなたの細胞一つひとつに潤いのシャワーを浴びせていく様子を想像してください。」

生のさつまいもを切った時、包丁や切り口に「白い乳液状の液体」がついているのを見たことがありませんか?
少しベタベタして厄介に感じるかもしれませんが、これこそが、さつまいも独自の薬効成分「ヤラピン」です。
ヤラピンには、腸の蠕動(ぜんどう)運動を促し、便を柔らかくする「緩下作用(かんかさよう)」があります。昔から民間療法として便秘薬代わりに使われてきたほどの成分です。
ここに、水に溶けない「不溶性食物繊維」が加わります。これが水分を吸って便のカサを増し、腸壁を刺激します。
この2つがタッグを組むことで、頑固な詰まりを自然に、そして強力に押し出してくれるのです。
「腸が整えば、心も整う」。お腹がスッキリすることで、なんとなく感じていたイライラや不安感まで軽くなるのを、きっと実感していただけるはずです。
さつまいもには若返りのビタミンと呼ばれる「ビタミンE」も含まれています。
ビタミンEは、体内でできる過酸化脂質の生成を抑え、活性酸素の害から体を守る働きをする栄養素です。
実は、ビタミンEは単独で働くよりも、ビタミンCと一緒に摂ることで真価を発揮します。
酸化して疲れてしまったビタミンEを、ビタミンCがフレッシュな状態に戻してくれるからです。
アーモンドなどのナッツ類にもビタミンEは多いですが、カロリーが高いのが難点。その点、さつまいもなら低脂質でたっぷりと食べられます。
さつまいもは、この「ビタミンC」と「ビタミンE」の両方をあわせ持つ、稀有な自己完結型のアンチエイジング食材なのです。
美味しいさつまいもに出会うための目利きと、失敗しない保存法をお伝えします。
さつまいもは寒がりです。冷蔵庫には入れず、1本ずつ新聞紙で包み、ポリ袋に入れて軽く口を閉じ、常温(冷暗所・15度前後)で保存しましょう。上手に行えば2ヶ月は持ちます。
食物繊維が豊富なさつまいもは、便秘改善による美肌効果など女性に嬉しい食材です。
また、さつまいもの皮にはカルシウムが含まれています。
オーブンで皮ごと焼き、そのまま食べると良いでしょう。
「その紫のドレス(皮)を脱がさないで。そこにこそ、あなたの腸を磨き上げる“天然の美腸成分”が眠っているのですから。」
「レンジでチンしたら、パサパサで甘くなくなった」
そんな経験はありませんか?
さつまいもの甘み成分(麦芽糖)を作り出す酵素「アミラーゼ」は、60~70度でじっくり加熱することで最も活発に働きます。電子レンジの急速加熱では、この酵素が働く前に火が通ってしまうのです。
そこで、美味しくする裏技をご紹介します。
単品でも素晴らしいさつまいもですが、パートナーを見つけることでその力は何倍にも膨れ上がります。
さつまいものビタミンC・Eと、にんじんのβ-カロテンの相乗効果で、粘膜を強化し、風邪を寄せ付けない体に。
おすすめレシピ:さつまいもと人参のローズグリル
さつまいものカルシウムと、バナナの豊富なカリウム・食物繊維が合わさることで、余分な塩分を強力に排出。最強のデトックスおやつになります。
おすすめレシピ:さつまいもとバナナのディップ
ここまで、さつまいもの栄養と効能についてお話ししてきましたが、いかがでしたでしょうか。
さつまいもは、ただ甘くて美味しいだけの芋ではありません。
それは、大地のエネルギーを私たちの体へと移し替え、内側から健やかさを育んでくれるパートナーです。
今日、スーパーでさつまいもを見かけたら、ぜひ一本手に取ってみてください。
そして、「私の体を綺麗にしてくれてありがとう」と思いながら、皮ごとまるごと味わってみてください。
その一口が、あなたの明日を作る活力となり、内側から輝く美しさの源となるはずです。
