食欲のメカニズム
食欲は、全ての高等生物に存在し、新陳代謝を維持する為に充分なエネルギーの取り入れを促すのに役立ち、消化管と脂肪組織と脳との間の厳密な相互作用によって調節されています。
生理的に起こる食欲のメカニズム
血糖値の低下に伴う食欲
血液中のブドウ糖濃度を「血糖値」といいますが、血糖値は食後上昇しその後時間とともに次第に低くなり、やがて空腹時血糖値(血糖値70~110mg/dl)になります。
この血糖濃度に、脳の視床下部の摂食中枢が反応すると空腹感が生じて食欲が湧いてきます。
また、血糖値が空腹時血糖値の約2倍になると脳の視床下部の満腹中枢が反応して満腹感が生じて食欲がなくなります。
胃壁の収縮に伴う食欲
胃に食べ物が入ることによって胃壁が伸びると、その変化に副交感神経が反応して満腹中枢を刺激し、満腹感を起こします。
逆に、胃の内容物が腸へ送られると胃壁が縮み、それには交感神経が反応して摂食中枢を刺激し、空腹感を起こすので食欲が湧いてきます。
感覚的に起こる食欲のメカニズム
美味しい情報に伴う食欲
食欲は、食べ物の味のほかに、見た目、香り、食感、料理を作る際の音、食事を取る際の雰囲気によっても影響を受けます。
食べ物やその周囲の情報は、口や目、鼻、耳などから神経を介して大脳皮質のそれぞれの感覚野に送られ、味、色、香りなどの情報がまとめられたその結果と食体験の記憶・知識などが脳の扁桃体という部分で統合され、おいしい・まずいなどの判断がなされます。
こうした情報は脳の視床下部に送られ、おいしいという判断は摂食中枢に伝わり食欲がわき、逆にまずいという判断は満腹中枢に伝わって食欲が起こらないのです。