鯵(あじ)とは

鯵(あじ)とは、アジ科の魚で種類が非常に多く、日本近海だけでも20種近く生息しています。
普通、単にアジと言えば「まあじ」を指します。

アジ科の魚は目が丸く大きく、紡錘形か体高が大きい(背からあ腹までの幅が広い)形で、尻びれの手前に独立した2本のトゲがあり、側線上にぜいごと呼ばれるトゲのある大型のうろこを持つものが多い。

まあじ

あじの種類と特徴

まあじの他、むろあじ、めあじなどがあり、かいわり、しまあじなどもあじの仲間です。

まあじ類

日本で水揚げされるアジのほぼ9割が真アジで、周年出回っています。
東京市場での取扱量も多い。
近年は、旬にかかわらず高値傾向にあり、大衆魚とは言えなくなりつつあります。

日本近海の真アジには、瀬付き(沿岸から離れない)の群れと沖合を回遊する群れとがあります。

前者は背が黄ないしは淡青緑色を帯び、後者は全体が黒っぽいことから、黄アジと黒アジと呼び分けられています。
味は黄アジの方が良いとされています。

近年は畜養も行われ、形がよいので高値がつくが、味は劣ります。
また、韓国からは活け魚、鮮魚、冷蔵の真アジが輸入されています。

他に日本の真アジとは種類が違いますが、ヨーロッパや南米からは冷凍品や干物が輸入されています。

真アジ

まあじ

アジと言えば一般的にこの真アジを指します。
北海道から南シナ海にかけて分布していますが、沿岸物を黄アジ、外用ものを黒アジとも呼ばれています。

にしまあじ

にしまあじは北大西洋の沿岸に分布し、日本の真アジとそっくりで、大きさは40㎝ほどです。

オランダから有頭の冷凍品がかなり輸入されて生干しに加工されるほか、外食産業などで利用されています。
味は悪くなく、価格は安い。

ニュージーランドまあじ

ニュージーランドまあじは、ニュージーランド北部、オーストラリア南部の沿岸に分布し、50㎝ほどになるが、普通は35~45㎝ほどのものが出回っています。

日本の真アジと比べて体高がやや小さく、ぜいごの数はやや多いが、区別しにくい。
ニュージーランドから大半が有頭の冷凍品で輸入され、主に生干しに加工されます。

チリまあじ

チリまあじは、南アメリカ西海岸の沿岸に分布し、60㎝ほどとかなり大型です。
チリから冷凍品が輸入され、アジとしてより、ブリやヒラマサの代用品として切り身で出回っていますが、量はさほど多くありません。

むろあじ類

関東以南の暖海にすむアジ類で、まあじに比べて体が筒形で、背びれと尻びれの後方、尾びれの付け根付近に1個ずつの離れびれがあります。

脂肪はまあじに比べて少なく、鮮度も落ちやすいので、種類によっては大半が産地で干物に加工されます。

鮮魚で用いるものは、むろあじ、おあかむろ、あかあじで、獲れたては刺身によく、特にあかあじの刺身は絶品です。

ムロアジ刺身

むろあじ

25㎝ほどになり、まあじに比べて細長い筒型をしています。
ぜいごは側線のうしろ2/3ほどの長さです。

あおかむろ

あおかむろは、全長45㎝ほどになり、ヒレが赤みを帯びています。

あかあじ

あかあじは、形はまあじに近く、ヒレが赤みを帯び、体色は全体に薄赤い。
全長は30㎝ほどです。

まるあじ

まるあじは、全長40㎝ほどで、まあじよりやや筒型で、ぜいごは側線の後部直走部だけにあります。
ムロアジ類ではもっとも美味で、焼き物、煮つけ、生干しに向きます。

くさやもろ

くさやもろは、全長40㎝ほどで、背は強く青みを帯びています。
伊豆新島の名物くさやの最高の材料です。

もろ

もろは全長25㎝ほどで、安い干物用の材料になります。

かいわり(貝割)類

日本のアジ類の中では最も体高が大きく、平たいところから、ひらあじとも呼ばれます。
かいわりの名は、尾びれがの形が植物の双葉、貝割れに似ているところからきています。
他に暖海性おきあじ、なんようかいわりがあります。

かいわり

かいわりは銀メッキをほどこしたように銀白色に光り、地方名にもめっき、平絹など、この体色からきているものが多い。
あじの中でも身はよく締まっていて美味で、近海ものとして人気があります。

おきあじ

おきあじは、関東を北限としてインド洋、太平洋の温暖部に分布し、全長40㎝ほどです。
体色はやや黒ずんでいます。
夏場にたまに入荷する程度で量は多くない。

なんようかいわり

なんようかいわりは、沖縄からインド洋、太平洋に分布し、全長は50㎝です。
他のものに混じって時折入荷する程度です。

その他のあじ

マテあじ

マテあじは冷凍品として輸入されています。
全長は25㎝ほどで、むろあじ類に似ていますが、体高が大きい。

昭和59年頃から、韓国より冷凍品がかなり多く輸入されています。
多くは開きになっており、一般にも安価に出回っています。
まあじに近い味で、かなり美味しく、肉が厚く幅も広い。

東南アジアで多く獲れ、沖縄でも獲れるが量は少なく、鮮魚として沖縄の市場に出る程度です。


あじの栄養効能効果

アジ類はタンパク質を20%近く含み、脂肪は不飽和脂肪酸が多く、EPAを多く含むため、コレステロール値を下げる働きがあります。

あじの食べ方・利用法

アジはクセがないので使いやすく色々な料理に使うことができます。
夏の小アジは丸ごと唐揚げにして、南蛮漬けや揚げ出しに用います。

小アジでも少し大きい15㎝前後のものは主に刺し身やたたきに、また酢じめにして酢の物やすし種にしたり、開いて天ぷらや生干しなどにします。
骨は風邪干しし、唐揚げにすると美味しい。

脂が乗った大きめのアジは塩焼きをはじめ、煮つけ、つみれなどに向きます。

西洋料理では、ムニエル、網焼き、フライ、衣焼き、マリネなどに利用されます。
中国料理では、油でいり焼きしてから煮込むしょうゆ煮(紅焼・ホン シャオ)が美味しく、唐揚げやあんかけなどもよい。

あじの旬

まあじ:5~7月に脂がのります。
むろあじ:夏。
かいわり:秋。春から秋に出回ります。

あじの産地

  • まあじ
    日本近海、東シナ海に分布します。
    日本海南西部、関東沿岸、東シナ海で特に多く取れます。
  • むろあじ
    伊豆七島、南日本で多く獲れます。
  • かいわり
    宮城以南、南シナ海まで分布。能登半島以南に多い。

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