ヨウシュチョウセンアサガオ

ヨウシュチョウセンアサガオは、ナス科(Solanaceae)に属します。

ヨウシュチョウセンアサガオの特徴

分布

熱帯アジア原産の大型な1年草です。
薬用の目的で世界中で栽培されていたのが、種子の自然脱出などによって野生化し、荒地、空き地へと広がっていきました。

もともと頑強な性質であったため、大きな広がりになりましたが、現在では、どこが原産地だったのか、不鮮明になっています。

日本には明治になってから入ってきたものでそれ以前の文献には出ていません。

外観

花: ヨウシュチョウセンアサガオの最も際立った特徴は、その大きな淡紫色でトランペット形の花です。夜に開花し、早朝に閉じることが多いです。花は非常に香りが強いです。

茎:茎は1m以上に伸び、枝分かれして大きく広がり、表面はなめらかです。

葉: 葉は広く、不規則な卵形をしており長さ8~16㎝、先は尖り、基部はくさび状で狭くなり葉柄に続きます。
葉のへりには尖った大型鋸歯があって、両面とも無毛です。
表面はややざらざらしています。

果実: 果実はさく果で上向きにつきます。
表面に棘のある球形の果実をつけ、成熟すると開裂して、扁平で楕円形で黒色の種を放出します。

ヨウシュチョウセンアサガオ

ヨウシュチョウセンアサガオの毒性・有毒部分

ヨウシュチョウセンアサガオは、全草にアルカロイド類の毒素を含んでいます。
特に種子に最も多く、根にも多く含まれています。

アルカロイドのスコポラミン、ヒオスチアミン、アトロビンなど、ナス科アルカロイドの代表的な有毒成分を含んでいます。

ヨウシュチョウセンアサガオの葉から医薬品

葉を乾燥させて「ダツラ」の名で生薬にし、鎮静、鎮痙薬にされていたこともあります。
「ダツラ」はマンダラ葉と読んだり、曼陀羅はとも書きます。

現在はほとんど薬用にしていませんが、「ダツラ」の名で日本薬局方に医薬品として出ていたころは、東京近郊や長野県、北海道などで栽培され、その葉を乾燥して出荷されていました。

主要成分と医薬品への応用

ヨウシュチョウセンアサガオの葉には、アトロピン、スコポラミン、ヒヨスチアミンといったトロパネアルカロイドが含まれています。

これらの成分は、中枢神経系に作用し、眼科手術での瞳孔拡張や、麻酔前投薬としての使用など、現代医療においてもその価値が認められています。

しかし、これらの成分は極めて少量で強力な効果を発揮するため、用量の管理が非常に重要です。

リスクと安全性

ヨウシュチョウセンアサガオの葉から抽出される成分は、適切に使用された場合には有益な効果を提供しますが、誤った使用は深刻な健康被害を引き起こす可能性があります。

幻覚、混乱、高体温、急速な心拍数などの副作用が報告されており、特に未成年者やペットに対する誤飲は大きな危険を伴います。