葉酸(ビタミンM、ビタミンB9、プテロイルグルタミン酸)
葉酸は、ビタミンB群の仲間で、ビタミンM、ビタミンB9、プテロイルグルタミン酸とも呼ばれ、ビタミンB12とともに造血にはたらく水溶性のビタミンです。
貧血を予防し、健全な発育のために不可欠です。
赤血球の寿命は約4か月です。
新しい赤血球がつくられるときに葉酸が不足すると、まともな赤血球ができず、悪性貧血になります。
貧血を予防するだけでも葉酸の役割は重要ですが、まだまだ大切な役割があります。
タンパク質の合成にはたらく葉酸は、細胞が新しくつくり出される場に必須です。
たとえば腸管粘膜は、細胞の入れ替わりが早いので、葉酸が不足すると潰瘍(かいよう)になりやすいといえます。
口や舌も不足の影響がいち早く出るところで、口内炎になります。
また、葉酸不足による貧血が大人より子どもにおこりやすいのは、成長のために葉酸が消費されるためです。
妊娠中や授乳中は、特に葉酸は重要です。
葉酸は、タンパク質や核酸の合成にはたらいて、発育を促します。
核酸というのはDNAやRNAのことで、細胞の核の中にあって遺伝情報を保存し、遺伝情報のとおりに体をつくっていく指令を出すところ、いわば、生命の根幹です。
妊娠中、授乳中に不足すると、胎児では脳神経に障害が出たり、赤ちゃんの発育に大きな影響を及ぼします。
ビタミンはからだの中で協力しあってはたらいています。
葉酸と関係の深いのはビタミンB12です。ともに悪性貧血を防いだり、葉酸が遺伝情報を伝える成分を合成するとき、B12が補助したりして協力関係にあります。
また、葉酸が体の中で活躍できるのは、ビタミンCによって活性型に変換されるからなのです。
そんなわけで、葉酸が充分にあっても、ほかのビタミンがないと、うまくはたらいてくれません。バランスのよい摂取を心がけましょう。
健康や美容のためにビタミン剤を飲む人がいますが、一種だけを大量にとると、思いがけない落とし穴があります。ビタミンCの大量摂取は、葉酸の排泄量を増やします。1日にCを2g以上とっている人は、葉酸の摂取量もふやさないと欠乏が心配されます。
葉酸の効果効能・働き
- 貧血を防ぎます。
- 母乳の出をよくします。
- 腸内の寄生虫や食中毒を防ぎます。
- 皮膚の健康を保ちます。
- 胎児や乳幼児の発育をサポートします。
- 病気に対する抵抗力をつけます。
葉酸の1日の必要量
- 200μgが目安です。
葉酸の含有量が多い食品
- レバー、肉類、卵黄、牛乳、胚芽、酵母
こんな方に葉酸は必要
- 妊婦、授乳婦、貧血気味の人、飲酒量の多い人、ピルやアスピリンを飲んでいる、野菜の嫌いな人。
葉酸を過剰に取ると
- 過剰症は心配いりません。
葉酸が不足すると
- 神経過敏、うつ状態、健忘症を起こす。
- 悪性貧血、舌炎、口内炎を起こしたり、下痢を起こす。
- 動悸、息切れを起こす。
- 食欲不振や胃潰瘍になるリスクが高まります。
- 皮膚にシミができやすくなります。
- 抵抗力が落ち、病気にかかりやすくなります。
- 胎児では脳形成不全、乳幼児では発育不全を起こします。