糖質
糖質は、分子量の大きさによって、大きく3種類に分類することができます。
- いちばん分子が小さい単糖類(ブドウ糖、果糖、ガラクトース)
- 単糖が2~10個結合した少糖類(二糖類、オリゴ糖など)
- 多数の単糖類が結合した多糖類(デンプン、グリコーゲン、テキストリンなど)
体内に入った糖質は炭酸ガスと水に分解される過程でエネルギーを産出し、重要なエネルギー源となっています。
残りは体内で中性脂肪となり、皮下などに蓄えられます。
糖質はどれも単糖類として吸収・代謝が行われるので、果物やハチミツなどの単糖類はいちばん吸収が良く、体に負担をかけません。
しかし、吸収が良いだけに、皮下脂肪にもなりやすい点もあります。
米やパン、いも、バナナ、栗などの多糖類は、単糖類より吸収効率が劣ります。
これらのうち、量的に最も多く摂取するのはデンプンで、唾液や胃液の酸や酵素によって分解され、ブドウ糖になってから吸収されます。
糖質のとり過ぎは肥満の原因となるため、ダイエットで極端に糖質を制限する人がいますが、極度の糖質不足はさまざまな障害を引き起こします。
糖質が不足する状態が続くと、体を構成するタンパク質にエネルギーを求めなければなりません。
そのため、体内のタンパク質が分解されて、基礎体力が低下し、疲れやすくなります。
また、肝臓に蓄えられていたグリコーゲンがブドウ糖に還元されるため、肝臓の解毒作用が衰え、肌荒れなどの症状もあらわれます。
さらに、人間の脳はブドウ糖を唯一のエネルギー源としていますが、脳はブドウ糖を蓄えておくことができません。
そのため、極端な糖質不足が続くと、意識障害を引き起こす危険もあります。
糖質を減らしたい場合でも、1日に最低ご飯1杯分相当の糖質をとる必要があります。
なお、ダイエットをしている人が米やパンを控えて、代わりに果物やケーキを食べている方をみかけますが、これは逆効果です。
ケーキなどに使われる二糖類の砂糖は、米やパンに比べてずっと吸収率が良いからです。
糖質と食物繊維を合わせた総称を「炭水化物」といい、米、パン、めん類、いも類などが糖質を多く含む代表的な食べ物です。
糖質を主とする食べ物には、糖質以外の栄養素を豊富に含んでいる食べ物もあります。
白砂糖は、糖質以外の栄養素をほとんど含んでいませんが、黒砂糖はカルシウムやビタミンB群を豊富に含んでいます。
また、米は糖質以外にタンパク質源でもあります。果物やいも類には、ビタミン類が豊富に含まれています。
こんにゃく、海藻、きのこなどに含まれる食物繊維も多糖類の仲間です。
人の酵素では分解できないので、エネルギー源にはなりませんが、便通を良くし、血糖値の上昇を抑えたり、コレステロールを減らす働きがあります。
糖質の効果効能・働き
- 単糖類の中のブドウ糖は、脳のエネルギー源となります。
- 筋肉の運動や体温を維持します。
- 肝臓にグリコーゲンとして蓄えられることにより、解毒作用が増加し、アルコールを分解したり、肌あれなどを防ぐ働きがあります。
- 糖質は肝臓中に蓄えられ、必要に応じてブドウ糖に還元されてエネルギー源となります。
- エネルギーの供給源で、これが病気に対する抵抗力や治癒力になります。
急速にエネルギー補給が必要な時は、ブドウ糖を利用します。 - 砂糖は、甘味料として料理の味をよくします。
糖質1日の必要量
- 男性:400g程度
- 女性:300g程度
糖質の含有量が多い食品
品名 1食分 | 含有量 |
うどん 1玉240g | 136.8g |
そば 1玉240g | 130.1g |
スパゲティ 100g | 72.0g |
中華めん(蒸) 1玉180g | 68.9g |
糖質の効率的な取り方
糖質を燃焼させるにはビタミンB1(胚芽、ぬか、豚肉などに含まれる)を十分にとることが重要です。
ビタミンB1を十分に補給することによって、効率よくエネルギーに変換することができます。
スポーツや肉体労働をしている人など、エネルギー消費量の高い人は十分な補給を心がけましょう。
総エネルギーの50%以上が摂取量の目安ですが、砂糖と果糖はそれぞれ1日50g以内に抑えるようにしましょう。
糖質を過剰に取ると
- とり過ぎた分は体脂肪として蓄積され、肥満の原因になります。
- 肥満が進行すると、高血圧症、高脂血症、糖尿病、脂肪肝など、さまざまな生活習慣病の誘因となります。
中でも砂糖は、インスリンの分泌を促し、糖尿病の誘因となりやすいうえ、虫歯を進行させます。
甘いものの食べ過ぎは要注意です。砂糖はまったくとらなくても栄養的には問題ありません。
糖質が不足すると
- 低血糖(血液中のブドウ糖の濃度が低くなる)になると、脳へのブドウ糖の供給が少なくなります。
ひどくなると意識障害を引き起こすこともあります。
特に糖尿病で糖質の制限をしている人は、注意が必要です。 - 全身がエネルギー不足に陥ります。
- 血液中のブドウ糖の濃度を維持するために、細胞内でタンパク質からブドウ糖を合成します。
これによって、タンパク質の本来の利用効果が低下します。
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