大根とは-種類・品種・特徴・食べ方

現在の栽培品種のもとができるようになったのは江戸時代あたりからです。
世界的に見ると大根はヨーロッパ群、中国群に分けられます。

ヨーロッパ群は小~中型で鮮やかな色のものが多く、日本ではラディッシュが知られています。

中国群は華南型と華北型に分けられ、前者は、色が白く小~大型で日本の品種のもとになったものが多い。

また、華北型は小~中型で、現在日本でも中国大根の名で出回る色鮮やかなものは、これに属します。

日本では地域ごとに100種類以上もの大根がありますが、1980年代に入り適度な大きさで、外観がみずみずしく、甘い青首大根の消費が増えました。
現在栽培されている大根は、青首が多いとはいえ、多種多様なものがあります。


四十日群の特徴と食べ方

華南型の系統です。
根は細長く、耐暑性があって味も良い。
東京・亀戸の特産だった亀戸大根もこの四十日群で、根が短く、白首の春どり用で、比較的小型です。

肉質はち密で味もよく、葉がやわらかいので一緒にもみ漬けや漬け物として多く利用されますが、近年生産量が減ってきています。

その他葉を主に利用する美菜などがあります。
また四十日大根は種や子葉が大きいため、カイワレ菜用にも利用されています。

亀戸大根

紡錘形の根をもつ小ぶりな大根です。

昔は東京の亀戸特産でしたが、現在は江戸川区や葛飾区、千葉や埼玉の一部で少量作られる程度です。

2月中旬から5月頃にかけて出荷される春大根で、ほのかな香りと甘みが身上です。
葉付きで売られ、柔らかな葉も一緒に一夜漬けにすると美味しいです。

亀戸大根

四十日大根

葉数は少なく、根は細身の白大根です。
  
この系統の大根は子葉が大きいため、貝割れ菜用に使われることが多い。

四十日大根

宮重群の特徴と食べ方

本来は秋から冬にかけて美味しくなる大根です。
土質を選ばないので全国的に栽培されるようになりましたが、以前は中部以西の栽培が主でした。

甘みのある大根で、もともと青首の系統で、白首もできるが現在はほとんど栽培されていません。

品種としては、宮重総太、宮重長太、そしてス入りが遅く、品質も安定して人気の高い耐病総太りなどがあります。

また、春に出回る青首は、宮重、みの早生、時無、韓国の在来種などを組み合わせて、ハウス、トンネル栽培用に作ったものです。

根が大きい球形の聖護院大根も宮重群の大根で、江戸時代に愛知産の宮重大根が京都に持ち込まれてできたもので、現在の形になったのは明治時代以降のことです。

宮重総太

現在出回っている大根の主流である青首大根の一つです。
根は短円筒形で、尻部の肉付きがよい。

青首にはその他、ス入りが遅く病気に強い耐病総太りや、甘みが強く総太よりもやや長めの宮重長太などがあります。

根の部分をたたくとコンコンと澄んだ音のするものはス入りが少ない。
しっぽが長すぎず、毛穴が目立たずに深くないものを選びましょう。

青首大根宮重総太

聖護院大根

京都を中心に関西に広く分布。
青首の丸大根で、肉質がち密で甘く、水分が多くて繊維が少ないのが特徴です。

煮物に漬け物にと用途も広い。

聖護院大根

みの早生群の特徴と食べ方

本来、辛みがあって甘みが少なく、煮物に適した大根で、形は円筒形の中型です。
もともとは白首ですが、近年青首も作られるようになりました。

とう立ちの遅い春みのと病気に強い夏みのがあります。


練馬群の特徴と食べ方

大型の白首大根で、関東地方深い耕土が栽培に向くとして、徳川の五代将軍綱吉の奨励により江戸時代から栽培されてきましたが、現在は漬け物用が主で、量的には少なくなっています。

また正月のなますように12月頃に出回る三浦大根は、練馬大根の改良品種で、関東地方の代表的な冬大根となっています。

その他、かつて多く出回っていた大蔵大根などがありますが、青首大根の出回る時期や利用法と重なるため、昔ほど多く作られなくなりました。

練馬群の大根はいずれも辛みはあるが煮ると味が増し、煮崩れしないという長所をもったものが多い。

三浦大根

昭和初期に練馬大根から作られました。
寒さに強くス入りが遅い白大根です。
大型で根の中ほどが太く、丸尻です。

正月のなます用に、12月頃に出回りますが、おでんやふろふきなど煮物にすると美味しいです。

三浦大根

練馬大根

長く太く肉質は柔らかい。
根の長さが70㎝くらいになる大型の白大根です。
形は美しい長めの紡錘形です。

水分が少なくち密な肉質で、生食、煮物用としてよりも、たくあん漬けなどの漬け物用の需要が主です。

練馬大根

白上り群の特徴と食べ方

華北型の系統で小型です。
ねずみ、桃山、和歌山などがあり、色が特に白いのが特徴です。

質はよいが収量が少なく、大部分は特産的な地方品種にとどまっている中で、和歌山大根は、肉質がやわらかいため、漬け物用として比較的多く栽培されています。

和歌山大根

和歌山大根

小型の白大根で肉質がやわらかく、漬け物用として多く利用されています。

桃山大根

桃山大根

京都特産の白大根で、産量は少ない。

その他の大根

辛みが強くて肉質もかたい露地物の春大根として知られる二年子大根や、漬け物用として宮重、練馬、みの早生を交雑させた阿波晩生、やや小型で煮物から漬け物まで幅広い用途を持つ京都の白上り京大根などがあります。

また土壌や気候条件が限定されてできる地方特産の大根もあります。
岐阜の守口大根や鹿児島の桜島大根などです。

守口大根は長さが1m以上にもなる細長い大根で、守口漬けとして加工されます。
桜島大根は、桜島特産で、冬期も温暖な土地柄で、根が大きく育ちます。

近年、量はさほど多くないがスーパーマーケットやデパートの青果売り場に並ぶようになったのが中国大根です。
色鮮やかで球形やずんどうな形のもので紅心、紅長、青長、また日本の在来種とのかけ合わせのいため大根などがあります。

これらの大根は貯蔵がきく華北型の大根で、冬季はでんぷんが糖化して甘くなります。
この他、ヨーロッパ系の黒大根もあります。

二年子大根

二年子大根

辛みが強い露地物の春大根。

阿波晩生大根

阿波晩生たくあん大根

漬け物用として宮重、練馬、みの早生を交雑。

白上り京大根

白上り京大根

茎大根とも呼ばれる京都の特産大根。
煮物、漬け物と用途は広いが、生産量は少ない。

守口大根

守口大根

根径約2㎝、長さ1m以上にもなる特殊型の大根で、岐阜の特産。
辛みが強く肉質もかたいため、もっぱら漬け物用。
粕漬にした守口漬けは、この地方の特産漬け物となっている。

桜島大根

桜島大根

鹿児島の桜島で作られる大根。
根は少しつぶれたような球形で、重さが15㎏になる大型種。
やわらかく甘みがあって品質も良く、生食、煮物、切り干し、漬物などに幅広く利用。
また、粕漬にしたものは薩摩漬けとして市販されている。

黒大根

黒大根

皮は黒いが、中は白い。
辛みが強いので、そのまま生食されることは少ない。

紅心/紅芯大根

紅心大根

紅心大根断面

ずんぐりした短筒形で外から見ると皮肌の色合いが青首大根に似ていますが、割ると中が赤い。
皮肌も中も赤いタイプの紅心大根もあります。

ねずみ大根

でん粉が多く水分が少ない辛み大根の一種。
大根おろしや漬け物に最適です。

ねずみ大根・辛み大根

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