マリアアザミ

英名Milk thistle
科名キク科
別名オオアザミ、ミルクシスル
原産地地中海沿岸、ヨーロッパ全土、北アフリカ、アジア
使用部種子、葉

アザミ

ヨーロッパにおいて二千年以上も前から民間薬として肝臓、胆のう、膵臓、消化管の病気や母乳不足などに使用されてきました。
その名は「食用アザミ」に由来、食用として種子を炒ってコーヒーの代用に、若い新芽はサラダに用いられていました。

期待されるマリアアザミの効果効能

  • 肝機能改善
  • 慢性肝炎、肝硬変の改善
  • 肝細胞再生促進作用
  • 抗酸化作用

種子から抽出するシリマリンは細胞内で抗酸化物質として働き、生体内の主要な活性酸素除去物質であるグルタチオンを増加させる作用があります。さらにタンパク質の合成を促進し、肝細胞を再生させます。

ラットの摘出肝臓で肝細胞の再生効果が確認されており、タンパク質合成に関わるRNAポリメラーゼⅠとリボソームRNAの合成を活性化することが報告されています。


マリアアザミの有効成分・栄養素

種子からの抽出エキスの主成分はフラボノリグナン類のシリビン、シリクリスチン、シリジアニンであり、この3成分を主として含む抽出生成物をシリマリンと呼びます。


肝障害に対する試験

・試験デザイン:プラセボ(偽薬)を対照とした二重盲検試験

  • 対象:肝障害を持つ患者
  • 人数:97人(男性83人、女性14人)
  • 投与量:シリマリン420mg/日、を4週間
  • 結果:4週間の投与によりGPT(ALT)、GOT(AST)、BSPの改善が認められました。

肝硬変に対する試験

1.試験デザイン:プラセボ(偽薬)を対照とした二重盲検試験

  • 対象:肝硬変患者
  • 人数:170人(男性123人、女性47人)
  • 投与量:シリマリン420mg/日、を4年間
  • 結果:4年後の延命率はプラセボ群38%に対し、投与群は58%と、有意に延命率の延長が認められました。またこの結果は、アルコール性肝硬変の患者に顕著に表れました。

2.試験デザイン:比較対照試験

  • 対象:肝硬変を併発した糖尿病患者
  • 人数:60人
  • 投与量:シリマリンエキス600mg/日、を1年間
  • 結果:1年間の投与で、細胞膜の脂質過酸化の減少、インスリンに対する耐性の減少、内在性インスリン過剰産生の大幅な減少が確認されました。

慢性活動性肝炎に対する試験

・試験デザイン:プラセボ(偽薬)を対照とした二重盲検試験

  • 対象:慢性活動性肝炎患者
  • 人数:20人(男性6人、女性14人)
  • 投与量:シリマリン240mg b.i.d(480mg/日)、を1週間
  • 結果:シリビンとフォスファチジルコリン複合体の肝臓保護効果についての試験的な研究が行われました。1週間投与することにより、病気の影響による肝細胞の壊死や細胞膜の透過性に改善が認められました。


マリアアザミの摂取量

種子換算で1日当たり12~15g。
シリマリンとしては1日当たり200~400mg(シリビン換算)が好ましいといわれています。


マリアアザミに関する注意点・安全性

ヨーロッパの臨床試験では、エキスとして20~60mg/日の投与を行っているが副作用は認められていません。
また1994年にWHOにより「副作用のない抗炎症作用をもつ薬用植物」として認定されています。
妊娠中・授乳中の食経験に関するデータはありません。


マリアアザミと薬との相互作用

基礎実験にて肝薬物代謝酵素CYP2C9や3A4の阻害作用が報告されています。
CYP2C9阻害作用について臨床試験での報告はありませんが、念のため注意しましょう。


その他マリアアザミの特記事項

現在では、さまざまな動物実験と臨床試験により、マリアアザミの肝機能改善に関する効果が多数報告され、その安全性も確認されています。
製造されているマリアアザミの抽出物は種子から抽出・精製され、ドイツでは医薬品として認可されています。


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