ガルシニア

英名Garcinia cambogia
科名オトギリソウ科
別名ゴラカ
原産地インド南西部、スリランカ、タイ(東南アジア)
使用部果皮、実

ガルシニアはスイスの植物学者ローラン・ガルシンにちなんでつけられた名前です。
インド南西部やタイなどの東南アジアでは香辛料、民間薬として昔から利用されてきました。
スイスの製薬会社で抗肥満薬として研究開発され、その後、アメリカでダイエット食品として流行しました。

期待されるガルシニアの効果効能

  • 食欲抑制作用
  • 体重・体脂肪減少作用
  • 脂質代謝作用
  • 持久力向上作用

食事から摂取する糖質は、消化、吸収、分解されてクエン酸となり、エネルギーや脂肪をつくるもとになります。
通常、糖質は人の活動に必要なエネルギーとして消費されますが、必要以上に摂取された場合、クエン酸を経由してATPクエン酸リアーゼの働きで脂肪へ合成され、体内に蓄積されて肥満の原因になります。

クエン酸と構造のよく似たHCA(ヒドロキシクエン酸)が存在すると、ATPクエン酸リアーゼの働きを拮抗的に阻害するため、糖質からの脂肪合成が抑制されます。

また、ATPクエン酸リアーゼ阻害により、クエン酸からのアセチルCoAの合成が抑制されるため、脂肪分解を促進すると考えられています。
このような作用の結果として、体脂肪蓄積が抑制されます。

また、脂肪にならずに残ったクエン酸は、エネルギー源としてすぐに利用可能なグリコーゲンとして蓄えられ、持久力の向上をもたらします。


ガルシニアの有効成分・栄養素

  • (-)-ヒドロキシクエン酸(HCA)


肥満・体脂肪蓄積抑制作用に対する試験

1.試験デザイン:プラセボを対象とした二重盲検試験(食事コントロール下)

  • 対象:BMI25以上または体脂肪率30%以上の女性
  • 人数:30人
  • 投与量:HCAとして750㎎(ガルシニア含有飲料200g×3回/日を12週間
  • 結果:有意な体重減少および内臓脂肪面積の減少が認められました。

2.試験デザイン:プラセボを対象とした無作為化二重盲検試験(食事コントロールなし)

  • 対象:BMI25以上または内脂肪面積90㎠以上の男女(20~65歳)
  • 人数:44人
  • 投与量:HCAとして1,000㎎(ガルシニア含有錠剤 食前30分に3錠×3回/日を8週間
  • 結果:有意な内臓脂肪面積の減少と総脂肪面積(皮下脂肪+内臓脂肪面積)の減少が認められました。

3.試験デザイン:プラセボを対象とした無作為化二重盲検試験(食事コントロール下)

  • 対象:BMI25以上アメリカ人女性
  • 人数:89人
  • 投与量:HCAとして1,200㎎(ガルシニア400㎎含有カプセル1カプセル1カプセル×3回)/日を12週間
  • 結果:有意な体重の減少、ウエスト周囲径の減少が認められました。

4.試験デザイン:プラセボを対象とした無作為化二重盲検試験

  • 対象:BMI25以上の男女
  • 人数:24人(男性12人、女性12人)
  • 投与量:HCAとして300㎎(ガルシニア含有トマトジュース)/日を2週間
  • 結果:1日当たりのエネルギー摂取量がプラセボ群に対して15~30%減少(自覚的な食欲減衰はなし)、体重減少傾向が認められました。


脂質代謝促進・持久力向上に対する試験

1.試験デザイン:プラセボを対象とした二重盲検クロスオーバー試験

  • 対象:平均6時間/日、5日/週のトレーニングを行う男性アスリート(最大酸素摂取量59.9±3.9ml/㎏/min)
  • 人数:6人
  • 投与量:HCAとして250㎎(ガルシニア含有ハム)/日を5日間
  • 運動負荷試験:摂取前および摂取5日目にエルゴメーター走行(VO2max60%→80%)中の呼気ガス、血液の分析
  • 結果:呼吸回数比(RER)の減少、呼気ガス中の脂肪酸化量の上昇、運動継続時間の延長が認められました。



2.試験デザイン:プラセボを対象とした二重盲検クロスオーバー試験

  • 対象:運動を行っていない一般的健常男性(最大酸素摂取量43.0±5.6ml/㎏/min)
  • 人数:6人
  • 投与量:HCAとして500㎎(ガルシニア含有飲料50ml)/日を5日間
  • 運動負荷試験:摂取前および摂取5日目にエルゴメーター走行(VO2max40%→60%)中の呼気ガス、血液の分析
  • 結果:呼吸回数比(RER)の減少、血中遊離脂肪酸濃度の上昇が認められました。



3.試験デザイン:プラセボを対象とした二重盲検クロスオーバー試験

  • 対象:運動を行っていない一般的健常女性(最大酸素摂取量26.07±2.79ml/㎏/min)
  • 人数:6人
  • 投与量:HCAとして250㎎(ガルシニア含有サプリメント50ml)/日を5日間
  • 運動負荷試験:摂取前および摂取5日目にエルゴメーター走行(VO2max40%→60%)中の呼気ガス、血液の分析
  • 結果:呼吸回数比(RER)の減少、運動継続時間の延長が認められました。


ガルシニアの摂取量

HCAとして250~1,000㎎(運動負荷試験において250~500㎎、単純摂取試験において750~1,000㎎)


ガルシニアに関する注意点・安全性

ガルシニアの果実は、インドを中心にカレーの酸味づけ用スパイスとして使用されており、食経験は長くあります。
ガルシニア果皮を使用した一般的なカレーには、1食あたり750~1,000㎎のHACが含まれています。

試験では成人男女を対象とし、HACとして3,000㎎/日のガルシニア抽出物を12週間継続摂取させているが、一般検査項目、内分泌系に関する項目ともに有害事象は認められていません。

また、人を対象とした試験において、HCAさまざまな摂取形態、摂取量、摂取期間を設定した報告が多数なされているが、そのなかにも有害事象の報告例はありません。

さらに、HACを経口摂取すると、血漿中HAC濃度は一時的に上昇するものの、摂取24時間後には摂取前と同等にまで低下するため、HACは血中に残留しないと考えられています。

ただし、妊婦・授乳期、性成熟期前の子供が摂取したときの報告はありません。


ガルシニアと薬との相互作用

一般的に相互作用は認められていないが、臨床試験(健常者)において、ガルシニアによりアスピリン、サリチル酸の血中濃度が上昇したとの報告があるので念のため注意すると良いでしょう。


その他ガルシニアの特記事項

厚生労働省より2002年3月、ガルシニア抽出物の安全性(ラットにおける精巣毒性)について、ラットにガルシニア抽出物を継続して過剰摂取させると精巣委縮などの影響が認められ、ガルシニア抽出物に含まれるHCAによるものと考えられているとの報告がありました。

ただし、動物試験の結果から、人(体重50㎏)においては、HAC16,800㎎/日の摂取までは安全性に問題がないと考えられます。
これに対し2002年4月、厚生労働省は消費者への情報提供として本事実(ラットにおける精巣委縮)を報告し、過剰摂取を控える旨通知しました。


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