イチョウ葉

英名Ginkgo leaf
科名イチョウ科
別名公孫樹、鴨脚樹、Maidenhair tree
原産地中国
使用部

イチョウは、およそ2億年前から存在しています。
漢方薬として、中国では5千年前から気管支炎の治療薬として用いられてきました。
日本でも、解毒、抗炎症、産前産後、長寿などの生薬として利用されてきました。

イチョウは中国名「鴨脚」の中国読みが由来です。
中国では「銀杏」ともいい、ギンナン、ギンチョウとも読みます。

期待されるイチョウ葉の効果効能

  • 認知症、痴呆症(アルツハイマー型、脳血管性)の改善。
  • 加齢による記憶障害の改善。
  • 健常成人における認識力・記憶力の改善。
  • 抗酸化作用

イチョウ葉

イチョウ葉エキスは、血流を改善することによって、脳内に血液を多く供給し、神経細胞の壊死や脳梗塞などを予防、改善します。
血流改善作用は、血管拡張作用、血小板凝集抑制作用、抗酸化作用の3つの作用の相乗効果によるものです。

また、フラボノイドの抗酸化作用により、特に活性酸素による赤血球や神経細胞の傷害を阻害します。

健常成人の記憶・認識力の向上に対して、高麗人参(Panax ginseng)と併用すると相乗効果があると報告されています。


イチョウ葉の有効成分・栄養素

  • フラボノイド(イソラムネチン、ケルセチン、ケンフェロール、プロアントシア二ジン)、テルペンラクトン


認知症・痴呆症に対する試験

1.試験デザイン:プラセボを対象とした無作為化二重盲検試験

  • 対象:アルツハイマー型あるいは多発梗塞性認知症患者(45歳以上の男女)
  • 人数:202人
  • 投与量:イチョウ葉エキス120mg/日を52週間
  • 結果:ADAS-Cog(認識力のスコア)及びGERRI(日常生活及び社会行動を評価するスコア)が、投与26週間以降でいずれもプラセボ群と比較して有意な改善が確認されました。

2.試験デザイン:プラセボを対象とした無作為化二重盲検試験

  • 対象:アルツハイマー型あるいは多発梗塞性認知症患者
  • 人数:156人
  • 投与量:イチョウ葉エキス240mg/日を24週間
  • 結果:プラセボ群とイチョウ葉エキス群の治療に対する有効率において、有意差が確認されました。


加齢による記憶障害にに対する試験

1.試験デザイン:プラセボを対象とした二重盲検試験

  • 対象:50歳以上の軽度~中等度の記憶障害のある患者
  • 人数:27人
  • 投与量:イチョウ葉エキス120mg/日(40mg×3回)を6ヵ月
  • 結果:Digit Copying sub-test(認識力のスコア)は投与12週及び24週後に有意に改善しました。
    また、識別作業の反応速度も、24週後においてプラセボと比較し、有意に優れていました。


健常人の記憶力に対する試験

1.試験デザイン:プラセボを対象とした二重盲検クロスオーバ試験

  • 対象:19~24歳の健常男女
  • 人数:20人
  • 投与量:イチョウ葉エキス120mg、240mg、360mg単回投与
  • 結果:プラセボと比較し、多くの能力測定において有意な変化が確認されました。
    特に、注意の速度において、投与2.5~6時間まで用量依存的な改善が認められました。

2.試験デザイン:プラセボを対象とした無作為化二重盲検クロスオーバ試験

  • 対象:30~59歳の健常男女
  • 人数:31人
  • 投与量:イチョウ葉エキス150mg(50mg×3回)、300mg(100mg×3回)、120mg×1回、240mg×1回を2日間
  • 結果:知能検査において、記憶力、特にworking memoryにおいて明らかな有効性が確認され、特に50~59歳で顕著でした。
    有効性は用量依存性でした。

3.試験デザイン:プラセボを対象とした二重盲検クロスオーバ試験

  • 対象:25~40歳の健常男女
  • 人数:8人
  • 投与量:イチョウ葉エキス120mg、240mg、600mg単回投与
  • 結果:摂取1時間後の知能検査において、Sternberg techniqueを用いた記憶力において、プラセボと比較し、有意な改善が確認されました。


イチョウ葉エキスの摂取量

  • 120~240mg/日(最高で600mg/日)


イチョウ葉に関する注意点・安全性

通常用いられる量(120~240mg/日)は安全です。臨床試験で使用されている最高用量は600mg/日です。
精製されていないイチョウ葉エキスは毒性のあるギンコール酸を含み、重篤なアレルギー反応を引き起こす可能性があるため、日本では、日本健康・栄養食品協会がギンコール酸の濃度を5ppm以下としなければならないという規格基準を設けました。


イチョウ葉と薬との相互作用

イチョウ葉は血小板凝集抑制作用を有するが、健常人の臨床試験において抗血栓薬との併用により出血傾向が強まる可能性があるとの報告があるので念のため注意するようにしましょう。
また、基礎・臨床試験にて肝薬物代謝酵素CYP3A4に影響する可能性が示唆されています。


その他イチョウ葉の特記事項

1960年代にドイツで、血流を改善する作用があることが発表され、1970年代にドイツで医薬品として認可されました。
これまでヨーロッパを中心に数多くの臨床研究がなされ、ヨーロッパ各国では医薬品、アメリカ、オーストラリアではサプリメントとして人気の高いハーブの一つです。

ドイツでは、医療現場で認知症・痴呆症の治療法の選択肢の一つとして挙げられています。


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