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雪や土を割って芽を出すフキノトウや早春の光をたっぷり浴びたタラの芽八百屋の店先に並び始める・・・春の風物詩の一つです。
これらの山菜が持つ独特の香りと苦味には、越冬で疲れた体と心をリフレッシュさせる効果があることが解明されています。
春まだ浅い2月、3月にドカっと降る雪の中、フキノトウやタラの芽を見つけると、「春」の到来を感じます。
冬ごもりの熊が長い眠りから目覚めて、最初に口にする食物はフキノトウだと言われています。
本格的な餌を口にする前に、フキノトウの持つ苦味成分で胃や腸を活性化させるためです。
これは熊の本能というより、親から子へ連綿と伝授された「生きる知恵」といって良さそうです。
春から初夏にかけて、野山には魅力的な山菜がたくさん芽を出します。
フキノトウやタラの芽をはじめ、野ゼリ、ノビル、ツクシやヨモギ、そして初夏にはタケノコなど。
それぞれ独自の風味があり、いずれも捨てがたいのですが、なかでも早春の山菜は、香りが強く独特の苦味があります。
この香りと苦味が、冬期に停滞していた体を活性化させてくれます。
またかつては、緑黄色野菜の少ない冬期に不足がちなビタミンCでしたが、山菜は貴重な補給源でもありました。
独特の苦味成分には、多種類のポリフェノールが含まれており、胃腸を整え活性化させるだけでなく、発がん性物質を除去し花粉症などの咳を鎮めます。
ビタミンCや食物繊維が多いのは言うまでもありません。
代表的な賞味方法は天ぷら、おひたし、フキノトウと味噌を練り合わせた蕗味噌などでしょう。
いずれもあく抜きは控えめにし、せっかくの風味と貴重なポリフェノールやビタミンCが失われないようにしましょう。
洋風には、フキノトウを縦に半分に切り、とろけるチーズをのせてオーブンで焼く方法もあります。
味付けは自由ですが、塩コショウのシンプルさが最も合います。
フキノトウと同じく、多種類のポリフェノールやビタミンCを持つほか、糖質の吸収を緩慢にする性質があり、糖尿病予防にも効果が期待されています。
山菜の中でも「味覚の王様と」と定評があるタラの芽は、天ぷらなどオイリー処理が一番適しているようです。
チーズ焼きもフキノトウと同じくなかなか美味しくいただけます。
行者ニンニクは、発芽までに5~6年、花が咲くまで10年かかると言われていますが、現在は栽培が可能になっています。
血液中の脂質を減らすアリシンはニンニクより多く含まれており、血行を良くし防腐効果も高い食品です。
いただき方は、生のまま細かく刻んで薬味にするほか、あく抜きしてヌタやおひたしにします。
一方、販売されている総菜は、ほとんどと言っていいほど「甘い」味付けが主となっています。
味覚は一朝一夕では育ちません。
人の「目」と同じで、赤ちゃんの時はしっかりとした像を結んでいませんが、成長と共に明確な像が結ばれていきます。
味覚も同様に、最初は「甘」から始まり、「塩」「辛」「酸」を理解し「苦味」や「えぐ味」の美味しさへと進んでいきます。
幼児には山菜の美味しさはすぐに伝わらないかもせれませんが、あく抜きし、甘味を加えるなどの工夫で、大人の味覚を少しずつ賞味させ、健康のためにも正しい味覚を育てることが大切です。