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麹
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日本の伝統的な発酵食品であるしょう油、みそ、みりん、酢、日本酒などは、すべて麹を使って作られています。
日本の発酵食文化になくてはならない麹は、その健康効果も注目です。
麹の歴史は古く、中国では紀元前3000年ごろ、日本では3世紀頃に、製造の記録が残っています。
麹は穀物に麹菌を植え付け、増殖させたもので、植え付ける穀物によって種類があります。
米なら米麹、麦なら麦麹、大豆なら豆麹になります。
一般に麹と言えば、米麹をさすことが多く、主に酒やしょうゆ、みそ作りのもと、甘酒や麹漬けに使われます。
また、塩麹、しょうゆ麹などの味付け調味料としても使われています。
麦麹、豆麹は、主にみそ作りに使われ、これらの麹をブレンドした麹がしょうゆ麹、金山寺みそ麹などの専用麹として発売されています。
麹を作る麹菌はカビの一種で、増殖する時に菌糸を長く伸ばし、ここから酵素を出し、穀物のでんぷんやたんぱく質を分解します。
この働きで食材の旨み、甘みが引き出され、味わいの深い発酵食品が作り出されます。
麹菌は微生物の中でもとりわけ酵素を生み出す力が強く、その数は100種類以上と言われています。
酵素によって分解されたデンプンやタンパク質は、消化吸収されやすいブドウ糖やアミノ酸に変わるため、体内への栄養吸収力が高まります。
また、麹の酵素が、体内酵素の働きを補い、代謝を促進させます。
さらに、麹菌が穀物に増殖する際に作り出されるビタミンB群にも代謝を促す働きがあります。
肌は主にタンパク質でできており、毎日新しく作りかえられます。
アミノ酸が不足するとこの新陳代謝が滞り、肌の再生がうまくいかなくなります。
麹の酵素がタンパク質を分解して作り出すアミノ酸は、新しい肌を作るときに必要な栄養素なのです。
麹菌が増殖する際に、ビタミンB2やパントテン酸などのビタミンB群がたくさん作られます。
ビタミンB群には、代謝を促進させることで、体や内臓を正常に働かせたり、疲労を回復させる働きがあります。
また、代謝のアップは、肥満予防にもつながります。
甘酒は麹を使った代表的な飲み物です。
江戸時代の庶民は暑い時に甘酒を飲み、夏バテを防いだそうです。
麹は米の栄養を分解してアミノ酸、ビタミン類、ブドウ糖などに変えて吸収しやすくするので、暑さで食欲が落ちても効率よく栄養補給ができます。
特に、ブドウ糖は約20%も含まれており、点滴の成分比率とほぼ同じと言われています。
麹菌を植え付ける穀物によって色々な種類があり、みそ、しょうゆ、甘酒、日本酒などの用途に応じて使い分けられます。
麹を米に植え付けた麹。
日本酒、みその醸造に使われます。
大麦や小麦に麹菌を植え付けたもの。
主に麦みそ作りに使われます。
大豆に麹菌を植え付けたもの。
主にしょうゆ、豆みそ作りに使われます。
玄米の表面に傷をつけ、麹菌を植え付けて作るもの。
米麹、麦麹、豆麹などがブレンドされた金山寺みそ麹、麦麹、豆麹がブレンドされたしょうゆ麹、みそ用に塩を加えた塩切り麹などがあります。
市販されている麹には、製法は同じですが、仕上げ方により乾燥させた乾燥麹と、そのままの生麹の2種類があります。
保存が効くように乾燥させた麹。
板麹、ばら麹があります。
生の麹。
米、麦、豆などの種類があります。
家庭で塩麹やみそを仕込むときは、納豆菌に注意が必要です。
納豆菌は繁殖力が強いため、麹菌を扱う際に付着すると麹菌が働かなくなってしまうことがあります。
麹の製造業者や日本酒をつくる杜氏は、納豆を食べないという話もあるほどです。
塩麹に納豆菌が混ざると、麹の発酵がうまくいかず、食べられなくはないものの、納豆臭くなってしまうこともあるので注意しましょう。