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葛(クズ)
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葛とは、山野、道端に自生するつる性の多年生草本で、夏、葉腋に紫紅色の蝶形花を密生し、後に平らな莢果を結びます。
大和の国(現在の奈良県)の国栖(くず)地方が昔、クズの産地であったためにクズの名がつけられました。
また、クズの葉は家畜の飼料に用いられましたが、特にウマが喜んで食べたことから、別名「ウマノボタモチ」(千葉県)「ウマノオコウ」(群馬県)などとも言われています。
かつて林業の大敵として駆除されていたクズですが、現在では森林に手が入れられることが少なくなり、山林や路傍に繁茂しています。
繁殖力旺盛で他の樹木に絡みついて枯れ死させてしまうため、林業では目の敵にされていますが、薬用としてクズは花も葉も根も非常に有用な植物です。
乾燥させたクズの根を主な薬にした「葛根湯」は非常にポピュラーな漢方薬です。
和菓子の材料やクズ湯に用いられる根から作ったクズ粉も、馴染みの深いものです。
葛根とは字のごとく葛(くず)の根を乾燥したものです。
葛はマメ科のつる性の多年草で、日本各地の山野に自生し、とくに奈良県吉野地方の「吉野葛」は良質品として有名です。
『日本書紀』にも登場する葛根は、古来より広く用いられてきた生薬で、発汗・解熱薬として使用されてきました。
食品のクズでんぷんやクズ葉が健康食品として用いられます。
主な薬理作用として解熱、冠状動脈の拡張、脳血流量の増加などがあります。
日本では葛の根は医薬品ですので、健康食品には使えません。根の成分は鎮痙作用をもつダイドゼインと10~14%のでんぷんです。
風邪薬として漢方の“葛根湯”として知られています。
食品としては、葛粉(クズでんぷん)を熱湯でとき葛湯として飲んだり、葛餅として食べたりします。クズの葉も葉緑素を含むので使用されます。
葛湯はクズ粉を小スプーン2~3杯を水に溶かし、これを透きとおるまで煮て、好みに応じて甘みをつけてから食べます。
葛粉をお湯で溶いた葛湯は体をあたため、体内の水分喪失を防ぎ、口渇を止め、下痢の緩和に効果を発揮します。特に小児や老人には有用です。
発汗剤として解熱する効果もあります。又、筋肉の凝りもほぐしますので、肩凝りのひどい時に用いると良いでしょう。
4~5月頃、若芽や若葉を摘みます。
アクはあまりなく、塩1つまみを入れた熱湯で、さっとゆでてから冷水に入れ、水を切って和え物などに用います。
花は8~9月頃のつぼみや8分咲きのものを花穂からしごきとり、酢をおとして熱湯で軽くゆで、冷水でさましてから酢のものにします。
二日酔いには3~4本の花穂を3~4日天日干ししてから、これを1日量として400ml(牛乳ビン2本分)の水で煎じて数回に分けて飲みます。
血便、下痢には1日15gを600mlの水で、約30分で約半量まで煮詰めて3回に分けて空腹時に飲みます。