甘草(カンゾウ)

  • 薬効:胃腸病 解毒作用

甘草は中国東北地方に自生するマメ科多年草ウラルカンゾウの根、根茎のコルクの皮をはいで乾燥したものです。

味は甘く、約1800年前の中国の古典医薬品集『神農本草経(しんのうほんぞうきょう)』に不老長寿のくすりである上薬(じょうやく)として記載されている重要な生薬です。

甘草には薬物に対する解毒作用があるので、古人は甘草が“百薬の毒を解す”,''百薬を調和する”としています。

漢方では最もよく利用される生薬のひとつです。

その主成分はグリチルリチン(甘味成分)で3~12%含まれています。
この構成成分のグルクロン酸は肝臓で有毒物質と結合して体外に排泄されやすい型にかえて解毒します。

薬のほかには食品の甘味料として使うことが多く、醤油などに添加されています。

薬物には強烈な薬理作用や刺激性をもったものがありますが、甘草を配合することで強烈な作用をおさえたり、刺激味を調和します。

漢方の処方名に甘草あるいは甘の字がはいっているものは甘草配合を意味します。
甘草附子湯(かんぞうぶしとう)、芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)、甘麦大棗湯(かんばくたいそうとう)、甘草湯(かんぞうとう)などです。
この他に葛根湯(かっこんとう)にも配合されています。

へんとう炎や声がれなどののどの痛みには煎じて飲用します。
痔や外陰炎には煎じ液で洗浄し,温湿布します。



甘草の注目成分

甘草の効果効能

  1. 健胃、胃腸の消化、吸収機能の低下を改善、止血などの効果があります。
  2. 肝臓に対する保護作用があります。
  3. 胃腸や筋などの平滑筋のけいれんの緩和効果があるので腹痛などを解消します
  4. 炎症や化膿性の咽喉痛、口内炎、乳腺炎などの初期で症状が激しくないときに使用すると効果的です。
  5. 痰が黄色で少なく,喀出しにくい咳や空咳がでて痰がでないときに用います。粘膜を刺激しない去痰作用です。
  6. 消化性の胃潰瘍にも効果があります。
  7. 細菌性のトキシン(毒)、ジフテリアや破傷風のトキシンや薬物、食中毒、フグ毒、蛇毒や代謝産物による中毒などを解毒します。


甘草の活用法

常用量は1日3~6gとして、他の漢方と配合し生薬とするときは9~30g、多くて30~60gとします。

甘草の注意する点

  1. 腹部膨満や嘔吐、浮腫などの症状があるとき使用しないこと。
  2. 甘草を長期間服用し続けると、副腎ホルモン様類似作用で水腫や高血圧などの副作用を起こすリスクがあります。

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