ぬか漬け

伝統的な和食では数少ない生野菜の食べ方がぬか漬けです。
食卓では脇役ですが、驚くべきプラス効果があります。

ぬか床に漬けた野菜は、塩分によって水分が抜け、野菜の旨みが凝縮されます。
また、ぬか床の中で育った植物性乳酸菌の作用によって生まれた酸味やぬかの成分が野菜に浸み込むことで、爽やかな風味と深い味わいが生まれます。

ビタミンB群やミネラルが増える

生のきゅうりのビタミンB1は100g当たりわずか0.03mgです。
もともとビタミンB1は米ぬかから発見されたビタミンで、胚芽米や全粒粉のパンなどに多く含まれています。

他には豚肉やレバー、牛乳、卵などの動物性食品に多く含まれ、野菜類には少ない。
ところが、きゅうりをぬか漬けにすると、ビタミンB1は100g当たり0.26mgと、驚くほど増えるのです。

ビタミンB1の成人1日当たりの所要量は0.7~0.9mgだから、きゅうり1本で1/3は取れてしまいます。

きゅうりの糠漬け

ビタミンB1は、糖質がエネルギーに変わるときに必要な栄養素です。
不足すると糖質の代謝が進まず、乳酸などの疲労物質が体に溜まって疲れやすくなります。

ぬか漬けにするとビタミンB1が増えるのは、ぬか床の塩分の働きで野菜の水分が抜け、細胞にできた隙間にぬかの成分が入ってくるからです。

ビタミンB1だけでなく、ぬか床の乳酸菌が作り出したビタミンCも入るので、ぬか漬けの野菜では時間の経過とともに失われるはずのビタミンCの損失も補われます。
ただし、塩分の取り過ぎにならないように注意する必要があります。



きゅうりを漬ける前/漬けた後のビタミン量の変化

(単位:mg 可食部100g当たり)

漬ける前漬けた後変化倍率
ビタミンB10.030.268.7倍
ビタミンB60.050.024倍
ナイアシン0.21.68倍

きゅうりを漬ける前/漬けた後のミネラル量の変化

(単位:mg 可食部100g当たり)

漬ける前漬けた後変化倍率
カリウム2006103.1倍
マグネシウム15483.2

米ぬかには多くのビタミンB群とミネラルが含まれています。
ぬか床に漬けることによって野菜の栄養価も高まります。

お肌の調子を整えるビタミンB群の摂取も、植物性乳酸菌の恩恵も期待することができます。

ぬか漬け

古くから伝わる発酵食品、ぬか漬けは美味しいだけでなく、毎日効率よく野菜を食べるための知恵でもあったのです。

伝統的なぬか床の作り方

【材料の割合】(生ぬか1㎏に対して)
塩 50g、水 適量、だし昆布・余った野菜(白菜、きゅうり、キャベツなど何でも)適量

  1. 水は沸騰させて塩素を抜き、冷ます。
  2. 生ぬかと塩を混ぜる。
  3. 2に水を少しずつ加えて、耳たぶくらいのかたさになるまで練る。
  4. 漬物容器に移し、だし昆布などを好みに合わせて漬け込む。
  5. 4に野菜を1日漬けたら取り出して捨て、床をかき混ぜ、別の野菜を入れる。毎日繰り返せば、4ヵ月でぬか床の完成。

ぬか床の乳酸菌や酵母は野菜について外からやってきます。
ぬかの糖をエサにして徐々に増えていくのです。
したがって、新しいぬか床に入れた野菜は3日間くらいは食べられません。

ぬか床が完成するまでの手間は大変ですが、一度完成すれば、新しい野菜を半日から1日ぬか床に漬けるだけで、美味しく栄養価の高いぬか漬けが食べられます。



ぬか床の管理

  • 1日に1回はかき混ぜる。
  • 表面に水が浮いてきたら、米ぬかを足す。
  • 塩分を補うために、野菜に軽く塩をまぶして漬ける。
  • ぬか床は夏は涼しい所、冬は暖かいところに置く。乳酸菌の繁殖に適した温度は20℃。
  • 旅行などで数日間留守にする場合は冷蔵庫に入れる。冷蔵庫に入らない場合は、表面に1㎜位の厚さに塩をまき、ラップで覆っておくと2~3週間は雑菌の繁殖を防ぐことができる。
  • 戻ったらよくかき混ぜてから、余り野菜を2~3回漬ける。

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