免疫力を高める
食べ物・栄養食品
効果効能ナビ
ナス
スポンサーリンク
スポンサーリンク
なすは古くから日本人に親しまれた野菜の一つで、用途が広いのが特徴です。
原産はインド東部の熱帯アジアで、日本へは奈良時代に中国を経由して渡ってきました。
『正倉院文書』の中にも出てくる、由緒ある野菜です。
種類も豊富で、主なものだけでも、中長なす、中なす、小なす、丸なす、米なす、長なす、卵型なす、水なすなどがあります。
全国的に多く栽培されているのは中長なすです。
長なすは九州・四国を中心に、丸なすは京都や新潟で主に栽培されています。
漬物用の小なすは山形が名産です。
米なすと呼ばれる大型のなすは欧米タイプの品種です。
中長なす、中なすはもっとも一般的なもので、炒めても、煮てもおいしくいただける万能野菜です。
小なすは漬け物に適している小ぶりな品種です。
丸なすは関西や北陸で好まれるなすです。
米なすはアメリカ産のずんぐりした品種です。
長なすは関西から九州にかけてよく食べられているものです。
なすは、焼きなすのほか、煮物、炒め物、蒸し物、田楽、グラタン、漬け物と、幅広い料理に使われています。
油をよく吸うので、てんぷらや油炒めなどにも相性がよく適しています。
やわらかくクセもないので食べやすい野菜です。
漬け物にするときは、古釘を入れると、仕上がりを美しい色にすることができます。
なすの紫色は、ポリフェノールの一種・ナスニンという色素によるものですが、鉄やアルミニウムに反応して、鮮やかな紺色になるからです。
四季を通じて流通していますが、旬は7~9月の夏野菜です。
なすは水分を多く含み、体を冷やす効果があります。
猛暑を乗り切る食材として最適です。
冬から春にかけてはハウスものになるので、どうしても味は落ちてしまいます。
買うときのポイントは、色つやの美しさと、ヘたの新しさを重点的に見るといいでしょう。ヘたの切り口が茶色く変色しているものは古い証拠なので避けましょう。
保存は乾燥させないよう、ラップにくるんで冷蔵庫で保管してください。
なすは約94%が水分です。
なすを栄養の面から見ると、低たんぱく、低カロリーで、栄養価はあまり高くありません。
主成分は糖質で、ビタミンはA、B1、B2、Cをごく少量含んでいるだけです。
比較的多いのがカリウム、食物繊維、ほかに鉄、葉酸、ビタミンKが含まれています。
栄養価は高くありませんが、鮮やかな紫色の皮にはナスニンというポリフェノールが含まれています。
また、ケガの止血や骨の形成を促すビタミンKを含みます。
わずかですが、胎児の発育に欠かせない葉酸も含んでいます。
カリウムはむくみや高血圧予防に有効とされます。
食物繊維は、腸内の排出を促し、便秘の予防効果があります。
なすに豊富なアントシアニンは、天然色素であるポリフェノールの一種で、赤ジソやブルーベリーなどに多く含まれ、紫外線やストレスによってつくられる活性酸素の働きを抑える抗酸化の作用とともに、血栓ができるのを防いだり、目の疲労の改善、アンチエイジング効果があります。
また、動脈硬化やコレステロール値の抑制など、生活習慣病の予防、がん予防に効果があるとされています。
わずかに感じる渋みはナスのアクですが、これはクロロゲン酸というポリフェノールの一種です。
クロロゲン酸の抗酸化作用がさらにアントシアニンの働きを助けると考えられています。
アクは有効なポリフェノールなので、長時間水にさらすとせっかくの成分が流れ出てしまうこと覚えておきましょう。
夏野菜は全般的に体を冷やす効果がありますが、なすはとくにその作用が強く認められます。
昔から高血圧やのぼせ症になすを食べるといい、といわれたのはこのためです。
夏場に常食していれば、体を冷やし、のぼせを防いでくれます。
逆に妊婦などは、食べすぎると体が冷える弊害となりますので、量をひかえたほうがいいでしょう。
「秋なすは嫁に食わすな」ということわざの真意も、ここにあるといわれています。
また、ぜんそく持ちの方、せきがよく出る方も、なすを多食すると、症状が悪化する可能性があるので注意しましょう。
また、ふだん声を多く使う仕事の方は、のどをあらす可能性があるので、なすを多量に食べないほうが良いでしょう。
へたを乾かし煎じて飲むと、食あたりを改善させる効果があるといわれます。
また、この煎じ汁でしもやけの患部を洗うと、症状が緩和されます。
歯痛や口内炎、舌のただれには、ヘたを黒焼きにして患部に塗ります。
炎症をおこしている患部の熱を取り、痛みを解消してくれます。
また、なすの汁はイボ取りにも効果があります。
なすをおろしてしぼった汁を、毎日イボに塗ると、徐々にイボが消えていきます。
ヘタにトゲがあり、枯れている部分がないもの。
皮は濃い紫色でハリ・ツヤがある。
持って重いもの。
傷やシワがあるものや茶色く変色しているものは避ける。
なすは、蒸散作用が旺盛で、水分の消失とともに果皮の光沢がなくなり、しなびが進行します。
熱帯生まれのナスは低温が苦手です。
5℃以下では低温障害を起こしてしまいます。
品質を保持するには、10~15℃に品温を保ち、包装により湿度を85~90%に保つことが重要です。
ひとつずつ新聞紙で包んでポリ袋に入れ、袋の口を軽く閉じて野菜室で保存する。
新聞紙で包むと、温度が下がり過ぎずに低温障害を防ぐことができます。(保存期間は約1週間)
長期の保存には、調理後密閉容器での冷凍保存が可能です。
ナスに含まれるβ-カロテンには抗酸化作用があり、皮膚や目の機能の維持に働きます。
また、皮に含まれるポリフェノールのナスニンは、疲れた体に効果的な栄養素です。
これらをたっぷり吸収するには、皮付きのまま焼くのが一番です。
β-カロテンは油と一緒にすることで吸収率がアップします。
また、カリウムは水に溶ける性質があるので切ったものは水につけず、直ぐに調理することがポイントです。
ナスを調理する時には、油通しをしてから味付けすると、アントシアニンが変色しにくく、風味よく仕上げる事ができます。
また、ナス自体に多くの栄養素は期待できませんが、ナスには一緒に調理する他の食材の栄養やうま味を取り込みやすい特徴があります。
ナスのβ-カロテン、かぼちゃのビタミンC、ビタミンEの相乗効果で、抗酸化作用がより高まります。
そのことにより、免疫力増強やシミ予防などの効果が期待できます。
ナスの-カロテン、みそのタンパク質は、疲労回復を助ける働きがあります。
また、ナスのカリウムと、みそのレシチンは高血圧予防が期待できます。
しょうがの辛味成分には消化機能を高める働きがあり、ナスの利尿作用と合わせて、夏の疲れに効果があり夏バテ解消に役立ちます。
この組み合わせで動脈硬化予防の効果がアップします。
意外なことにナス自体はほとんど味がありません。
味覚センサーで調べてみると、その味はミネラルウォーターとほぼ同じでした。
つまり、水ほどに味が薄いのがナスなのです。
しかし調理したナスは美味しい。
その美味しさは、実はだし汁や調味料、油をよく吸い込むことから生まれるものでした。
その吸収力は、ナスの果肉特有の構造からきています。
ナスの断面を顕微鏡で見ると、細胞の並び方は隙間だらけで、スポンジのようになっています。
この隙間がナスの美味しさの秘密で、だし汁や調味料、油をたっぷり含んでくれます。
ただし、生のナスは油はよく吸いますが、だし汁はほとんど吸いません。
ナスの細胞の隙間は毛細管現象により、油を吸い込むのに丁度よい大きさなのです。
だし汁を吸い込むのはナスが加熱されてからです。
加熱すると、ナスの細胞間が狭くなり、毛細管現象によってだし汁も吸収されるようになります。
さらに加熱により内部の空気が外に出ていき、スポンジをギュッと絞った状態になるため、吸収力がアップするのです。
また、加熱することでナスの味自体が変化します。
加熱後のナスには生には無かったうま味成分のグルタミン酸が生まれます。
つまり、ナスの美味しさを引き出すにはその吸収力を生かすことと、加熱することがポイントなります。
古くから伝えられてきたナスの民間療法では体を冷やし、鎮静、消炎作用があるとされてきました。
「秋ナスは嫁に食わすな」との言い伝えも体を冷やすことが一因とも言われています。
また、のぼせや高血圧にも効き目があり、悪酔い防止効果もあるとの説もあります。
実は、ナスにはステロイド系アルカロイドが微量ですが含まれています。
ナスのアルカロイドには、強心作用、消炎作用、溶血作用、血管浸透作用、中枢神経に対する作用やがん細胞抑制効果があるとの研究も報告されています。
このようなナスのアルカロイドの作用が民間療法の由来なのかもしれません。