消化のメカニズム

人の消化は、食物中の栄養素(タンパク質炭水化物、脂肪など)を吸収可能な大きさの分子に分解する工程のことです。

消化は消化管で数段階に分けて行われ、咀嚼(そしゃく)など物理的な分解と、消化酵素などによる化学的な分解がある。

物理的消化

食べ物が口に入ると、咀嚼(歯で噛み砕いたりすり潰したり)して消化の前準備を整えます。

また、口内の味蕾(味を感じる組織)が味成分を感じ取り、その刺激によって唾液量が増加します。

舌は、その唾液に食べ物をよく混ぜあわせ、食道へ送ります。

唾液にはアミラーゼという消化酵素が含まれており、穀物のデンプンや魚肉のグリコーゲン(動物性デンプン)を分解します。

ただし、食べ物が口の中に留まる時間は短いので、口中での消化はわずかです。

化学的消化の始まり

食べ物は食道の蠕動運動(筋肉の収縮で波を作り、食物を運ぶ)によってゆっくり胃に送られ、胃に溜まり始めると胃液が出てきます。

胃液が出るまでは、唾液のアミラーゼが働いており、澱粉の約50%が分解されます。

胃液が出てくると胃の分節運動によって食べ物と胃液が混ざり合い、粥状になります。

胃液の主成分は塩酸、ペプシノーゲン、粘液です。

塩酸は食べ物を殺菌して腐敗や発酵を防ぎます。

ペプシノーゲンは塩酸の働きでペプシンという消化酵素になり、タンパク質を分解し始めます。

粘液は塩酸から胃壁を守る役割を担っています。

化学的消化の本格化

胃の内容物が十二指腸に送られるとき、強酸性の胃液は粘液で中和されますが、内容物はやや酸性に傾いており、その刺激で十二指腸からホルモンが分泌されます。

そのホルモンは膵臓に働きかけて膵液を十二指腸に出させ、胆嚢からは胆汁を出させます。

脂質はそのままでは消化液になじまず分解されませんが、胆汁の助けで消化液と乳化(混じり合うこと)し、膵液の消化酵素リパーゼによって分解されはじめます。

糖質、タンパク質も膵液の消化酵素でさらに分解されます。


 

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